(※写真はイメージです/PIXTA)

ウクライナ侵攻から約1年。地政学的リスクに緊張が高まるなか、「日本は軍事的にアメリカに隷属している」「日本も軍事力をつけ独立しなければならない」といった言説が一部で力を強めています。しかし、東大名誉教授の矢作直樹氏と、世界の金融や国際協議の実務にかかわる宮澤信一氏は、明確にこれを否定します。「日米同盟」に多くの人が持つ「誤解」と2人の捉え方について、詳しくみていきましょう。※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本とアメリカは“結合双生児”

矢作:宮澤さんのいう「対等」を、私の場合は「結合双生児」と言ってきました。体はひとつ。ふたつのものがひとつにくっついてしまっていて切り離せない。それが日本とアメリカです。

 

親米派にしても反米派にしても「独立」という言葉が好きですね。それはどうやら戦前型の独立あるいは独立国家を指しているようですが、そうした独立という概念がすでに時代遅れだということを理解しなければいけないでしょう。

 

日本とアメリカの関係は、もうひとつ先へ進んでしまったあり方です。

 

他の国家関係でこういうかたちのところはありません。例えば朝鮮とアメリカ、中華人民共和国とアメリカの間でこんなかたちはあり得ません。

 

日本の場合、軍事的にはアメリカに隷属しているように見えるけれども、結局、アメリカに対して経済的な下支えができるし、実際に下支えしているから結合双生児の関係です。実はそれが成り立つのは、日本に天皇がおられるからであり、皇室のおかげである、ということも追々お話をしていきましょう。

 

宮澤:多くの日本人は、日本は泣く泣くアメリカにお金を出している、アメリカはお金をもらって日本を守ってやっている、というイメージを持っているかもしれません。しかし、上納金を出し、それが当たり前のように受け取られ、あなたが親分、私は子分、というような時代はもう過ぎ去りました。

 

お金には潤滑油の側面があります。要するに親分子分の関係ではない。そういう時代がなかったということではないのだけれども、数々の条約、アメリカで起きた様々な経済事象、それらに対していちいち付き合い続けた日本側のかかわりを経て、今日現在においては日本とアメリカの間にそういう関係はありません。対等です。

 

 

矢作 直樹

東京大学名誉教授

宮澤 信一

国際実務家

 

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※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか?

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矢作 直樹

ワニブックス

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