「日米同盟」の裏にある“真のキーポイント”
【宮澤】アメリカと日本の経済関係は相互に依存する関係です。そして、MSA協定とは、大枠で言えば、日本がアメリカから武器を買い、その手数料を積立金としてアメリカに積んでおく、という話です。
日本としては、国防費つまり防衛装備品を買う費用という目的以外の目的で資金をつくりたい、お金を刷りたいわけですが、お金を刷る場合には、防衛装備品を買うという目的があって初めてお金をつくることができるということになっています。その条件をクリアして初めて日銀はお金を刷ることができます。
一般の人がいくら調べたところで、MSA協定の詳細についてはほとんどわかりません。密約の部分があるから、わかるわけがありません。
MSA協定作成の実務にあたった人たちは、日米地位協定や国際通貨基金協定といったものをすべて絡め、国対国の正式な条約にほぼほぼ近いようなかたちで協定をつくりました。
限りなく条約に近いのですが、そこには密約による条件がつけられています。協定によって流れる金を、お互いの国、例えば日本で言えば財務省や国税庁、アメリカで言えばIRS(Internal Revenue Service、内国歳入庁)に申告しなくてもいいという条件です。
官房機密費のような扱いで、日本から出たお金をアメリカのドルに換えてもいいし、日本円にしてもいい。そして、その条件のために、防衛装備品の購入という条件がセットされているのです。
最近は国によっては広報されてクリアになっていたりする場合もありますが、防衛装備品に関する情報、つまり、どういう武器をどれだけ持っているかなどという情報は基本的にグレーです。
防衛装備品をいくらでいくつ買ったかなどという話は、基本的に口に出すような性質のものではなく、その費用については売り上げた側においても申告義務がないというのが国際常識です。
MSA協定はそこに目を付けました。ここにMSA協定の基本があり、日米安保の基本があります。