未成年のYouTuberに関わる法律・判例
◆未成年でも権利侵害を問われる
Q.未成年でも、名誉毀損や肖像権侵害といった権利侵害の責任を問われるのですか?
A.未成年であるからといって、他者の権利を侵害した責任を免れることはできません。責任能力の認定の下限年齢は、概ね11歳前後から14歳前後とされています。
過去に、未成年なので資力がなく慰謝料の支払いができないと主張した裁判もありましたが、支払い能力によって慰謝料の額が左右されることはないとされ、保護者など親権者が損害賠償責任を負うことになるのが一般的です。
未成年者に責任能力が認められなかった場合にも、親権者が義務を尽くしていない時には、慰謝料の支払いと同様に、監督義務者が未成年者の賠償責任を代わりに負うことになります。
【民法第714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)】
前2条の規定※により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
※ 民法第712条は「未成年者」の、第713条は「精神上の障害」による者の責任能力について規定しています。
他に、知っておいた方がよいこととして、児童オンラインプライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act、略称「COPPA」)の存在があります。この法律は、YouTubeの子ども向けチャンネルと非常に深い関係があります。
COPPAは、1998年10月にアメリカにおいて制定された法律です。13歳未満の児童から個人情報を収集、利用、開示するウェブサイト事業者やオンラインサービス事業者に対して、児童の親への通知や同意を義務付けるものです。
2019年9月に、YouTubeとその運営会社であるGoogle社は、COPPAに基づき、アメリカの連邦取引委員会(The US Federal Trade Commission、FTC)から訴訟を起こされ、最大で1.7億ドルの和解金を支払うことになりました。
これを受けて、YouTubeでは、YouTube上の子ども向け動画やチャンネルにおいて、視聴者の属性などの情報に合わせて広告を表示するパーソナライズド広告などの一部機能を制限しています。
これらの機能は、視聴者である未成年の子どもの個人情報の収集をすることが前提となっているためです。
このため、YouTubeで配信する動画が子ども向けであると判断される場合には、YouTuberの広告料収入が大きく減少する可能性があります。
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