物にも「肖像権」がある?ストリートでの動画撮影で訴えられないため知っておくべきルール【IT専門弁護士が解説】

物にも「肖像権」がある?ストリートでの動画撮影で訴えられないため知っておくべきルール【IT専門弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今やもっとも身近なメディアのひとつとなった「YouTube」。誰でも動画を撮影してアップロードできますが、ルールをよく理解せずに利用しているケースも多く見受けられます。本記事では、ITエンジニアの経歴をもつ弁護士・河瀬季氏が、著書『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』(祥伝社)から、街中で撮影をする際に「物体」に関して注意しなければならない法的問題について解説します。

他人の所有物を公開することは許される?

◆ロケの場合、撮影がNGのものは?

Q.街中などでロケをする時には、どうしても物が写り込むことになりますが、他人の物を撮影し、公開することは問題にはなりませんか?

 

A.対象物によって、問題となる権利、該当する法律や規制が異なるので、注意が必要です。美術品や芸術作品、つまり、絵画や彫刻のような著作物は著作権法によって保護されていますから、許可なく撮影し、公開することは複製権の侵害となってしまいます。

 

◆建物の場合は?

 

Q.建物の撮影については、どう考えればよいでしょうか? 建築物であっても、建築著作物に該当する場合があると聞きましたが、著作物として認められている建築物や美術品の場合は、どうでしょうか?

 

A.建築物も、建築著作物に該当する場合があります。

 

著作物として認められている建物や美術品、モニュメントなどの場合には、著作権が問題となりますが、著作権法では、「屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物」に関して禁止されているのは、全く同じ意匠の建築物を作る行為と、土産物のような複製物を作って販売する行為等に限られています。

 

つまりこれら以外の目的であるなら、自由な利用が認められていて、写真を撮影することも、その写真を広告に使用することも、問題ないことになります。

 

【著作権法第46条(公開の美術の著作物等の利用)】

美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

 

1. 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合

2. 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合

3. 前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合

4. 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合

※ 街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所などのこと。

 

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※本連載は河瀬季氏の著書『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』(祥伝社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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