アカウントの種類によって異なる「訴訟の手順」とは
普通のアカウントの場合、メールアドレスしか登録していませんし、フリーメールである場合がほとんどでしょう。だから、住所や氏名はわかりません。
YouTubeでは、チャンネル登録者数が1,000人以上、かつ有効な公開動画の総再生時間が4,000時間以上であるという条件を満たすと、パートナープログラムへの参加が認められます。
パートナープログラムへの参加が認められてアドセンスが有効化されると、広告収入が支払われるのですが、この場合には広告収入の支払い情報が入力されているので、YouTubeを相手とする1回の開示訴訟で、氏名や住所がわかります。
しかし、普通のアカウントの場合には、ログインIP開示の仮処分と氏名・住所開示の訴訟という2回が必要となります。
今回のケースで考えると、誹謗中傷コメントを寄せてきたBさんは、登録人数も動画再生時間も、有効化資格を満たしていますが、ひとまず2回の氏名・住所開示訴訟が必要であるとして、説明しましょう。
発信者情報を開示させるためには、サイトの運営者(運営会社)、YouTubeの場合にはGoogle社に対して「発信者情報開示請求書」という文書に身分証明書を添えて提出、または郵送します。
誹謗中傷が書き込まれたサイトのURL(アドレス)、請求者の氏名・住所、開示を求める理由などを記載する必要があります。
発信者情報開示請求を行なうと、サイト管理者やプロバイダは、請求者の主張が法律上の要件を満たしているかどうかを判断し、発信者情報を開示するか、非開示とするかを決めます。
管理者がIPアドレスの開示請求に任意で応じる場合もありますが、「裁判所による公的判断が下されない限り開示請求には応じられない」とする管理者に対しては、改めて発信者情報開示の仮処分を申し立てることになります。
プロバイダ側からすれば書き込みをした人物はお客様ですし、個人情報保護の観点からも、プロバイダが任意の情報開示請求に応じてくれるケースは少ないのが現状です。
◆もし開示請求に応じなかったら
Q.コンテンツプロバイダが任意の情報開示請求に応じなかった場合には、どうしたらいいのでしょうか?
A.コンテンツプロバイダが任意の情報開示請求に応じなかった場合には、「裁判」ではなく「仮処分」を用います。「記事削除」の場合と同じです。
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