(※写真はイメージです/PIXTA)

中学3年の修学旅行で「赤門」を友人と訪問。高校1年のとき高校の先輩が東大合格したことで「目標」が明確になり、3年間努力した結果。コンサルタントの井口嘉則氏が著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

実現したい将来像のイメージが明確になった

■自分で希望を持てない人が多い

 

ところが、私たち日本人は、マイナス思考の人の割合が高いため、未来について想像できないとか、想像しても、先ほど出てきたようなマイナスの未来を予想して、未来に希望を持てなくなっている人が多いのです。

 

マイナス思考の人の割合は、これまで折に触れて調べてきた結果、平均的には、3分の2から、4分の3程度の人がマイナス思考に分類されます。自分が平均的と思っている人は、真ん中程度ですから、真ん中程度の人も、まだ若干マイナス傾向となります。

 

ですから、マスコミも視聴率を取るために、マイナス思考の人たちに受けるニュースを流します。マイナス思考の人たちは、マイナス=暗いニュースに敏感です。そしてそのマイナスのニュースを聞いて、心配したり、憂えたりすることで、自分の気持ちを満足させます。

 

一方、プラスのニュースを流しても、マイナス思考の人たちは、自分の思考のアンテナをくすぐられないので、そのニュースにあまり関心を持ちません。新型コロナウイルスの場合も、TV番組の大半がコロナウイルス関係で先行き暗い話ばかりでした。そしてそれらの番組で高い視聴率を誇っていたのでした。

 

その際、私の友人で、あちこちのニュースをいっぱい当たって、SNSで新型コロナ関連の情報を提供してくれたのは、超マイナス思考の人でした。

 

ではそのようなマイナス思考の人が多い状況下で、どのようにして、国民や社員に希望を持たせたらよいのでしょうか。

 

それには、国や会社・組織を引っ張るリーダーが、明るい未来を語り、皆にそれを信じてもらい、支持してもらうことが必要です。

 

新型コロナによる第1回目の緊急事態宣言の際も、「とにかく8割接触を減らしてください。そうすれば、感染が終息しますから。」と言われて、命令ではない「自粛」を国民が自発的に行って、第一波は1ヶ月半でほぼ終息しました。

 

■明るい未来が想像できると希望が湧く

 

前頁の表に示したように未来に関する言葉がいくつかありますので、ここでいったん整理した上で話を進めましょう。キーワードは「願望」「夢」「ビジョン」「目標」です。

 

(1)願望…漠然とした想いや願い。例えば、「将来、お金持ちになりたい」「サッカー選手になりたい」のような、将来に対するぼんやりとした願いや想いのことです。願望の場合には、具体的なイメージまではありません。

 

(2)夢…実現したい将来のこと、またはありたい姿。例えば、「宇宙飛行士になりたい」とか、「甲子園に出たい」とか、ある程度実現した姿が想像できるものやことです。

 

もともとは、夜寝ている間に見る夢のことをいいます。それが転じて目覚めている間でも将来実現したいことを「夢」と呼ぶようになりました。夢は個人が持つもので法人や組織の場合は夢とはいいません。

 

(3)ビジョン…主として法人や組織の将来のありたい姿、実現したいものやことのことです。個人の場合も「個人ビジョン」という言い方はしますが、単に個人的にこうなりたいという夢だけでなく、周りも巻き込んでこうなりたいという内容のことを指すことが多いです。夢と同様実現したいイメージが重要であるとともに、周りを巻き込む共感性も重要となります。

 

(4)目標…実現したいこと、実現しなければならないことで、達成時期や達成度合いがはっきりしています。多くの場合、定量的な表現が可能になるレベルの具体性があります。例えば、「Jリーガーになって、年俸1億円稼ぎたい」等。松坂大輔選手が大リーグに行った際に、大リーガーになるのは、夢ではなく、目標だったというような趣旨のことを言っていましたが、夢と目標のニュアンスの違いが分かる発言でした。

 

個人の場合でいうと、(1)の願望を持つ程度では希望が湧くところまでいきませんが、(2)の夢が持てるとか、(4)目標が持てると、希望が湧いてきます。つまり、将来実現したいことがある程度具体的になると希望が湧いてくるのです。私の個人としての体験及び人を指導した体験によれば、実現したい将来像のイメージが湧いてくることが重要であると感じています。

 

例えば、私の場合、中学3年生の修学旅行で東京に行き、本郷界隈の旅館に泊まった時に、近くにあると聞いた「赤門」を友達と一緒に試しにくぐりに行きました。

 

そして、高校一年生になった時に、3年上の先輩がその大学=東京大学に受かったと聞き、その高校からその大学を目指すことに決めました。そして、「あの、赤門をくぐれるようになるのか」と想像し、期待しながら、3年間を過ごすことができました。これが、企業や組織となると、(3)の「ビジョン」となります。

 

井口 嘉則
オフィス井口 代表

 

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※本連載は井口嘉則氏の著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再構成したものです。

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