いまだ残る大きな課題、巨額の投資
一方、AUKUSについては、中国の脅威が高まる中、プロジェクトに必要な、広範に渡る技術共有に対する米国内での厳しい制限や、潜水艦の納入にかかる時間など、大きな課題が残されている。
ある米政府高官はロイターに対し、米国の生産能力が伸び悩んでいることを反映して「オーストラリアに売却されるバージニア級潜水艦のうち1隻か2隻は、米国で使用されていた艦船になる可能性が非常に高い」と語ったが、これには議会の承認が必要となる。
アナリストによれば、中国が力をつけ、必要であれば武力で台湾を奪おうとする脅威を考えると、極超音速等、より迅速に展開できる他兵器を含むAUKUSの第2段階を進めることが不可欠であるという。
イギリスとオーストラリアの政治関係者は、「技術共有における障壁を取り除く作業がまだ必要であり、月曜日の発表の段階ではこの第2段階をカバーしていない」と述べた。
一方で米政府高官は、「オーストラリアは米英の潜水艦の生産・整備能力の増強に貢献するだろう」と述べた。さらに、「ワシントンは2023年から29年にかけてすでに約束した46億米ドル(約6,026億円)に加え、潜水艦産業基盤への『2桁億米ドル』規模の投資を検討しており、オーストラリアの貢献は全体の15%未満になるだろう」と述べた。
2020年に欧州連合(EU)を離脱した英国は、AUKUSが自国経済の低成長率を押し上げるのに役立つと述べている。スナク英首相は、「AUKUSは“あらゆる意味で最も近い”同盟国との絆を結び、自国に安全保障、新技術、経済的優位性をもたらす」と述べた。