(※写真はイメージです/PIXTA)

松田文雄氏の著書『「心の育ち」と「自分らしさ」―子育てと自戒―』より一部を抜粋・再編集し、「叱るしつけ」について考えていきます。

「しつけ」が必要な本当の理由

しつけは、「仕付け」とも書き“礼儀作法を身につけさせること”という語源があるようです。言い方を変えると、人間関係をうまくこなし、生きていくための術を身につけることであるとも言えるでしょう。

 

なぜ「しつけ」が必要なのかについて考えてみたいと思います。誰とも関わることなく、生涯一人で生きていくのであれば必要ないのかもしれません。

 

人間社会で生きていくためには、その人の言動がほかの人々にさまざまな影響や印象をあたえます。人に支えられたり人を支えたりすることで人のぬくもりを感じたり、立ち直る勇気をもらったり、自分も誰かの役に立てると気づくということもあります。

 

「しつけ」の先にあるのは、人と人との関係が好ましいものになることで、「幸せに生きる」ことにつながるのではないでしょうか。また、「しつけ」は人を動かすための方法を親から学ぶ機会とも考えられます。

 

そして、どのように「しつけ」られたかによって、「自分らしさ」につながるように思います。さらに、「しつけ」は「自己評価の基準」やものごとの「価値観」にも影響します。

 

これから先の子どもの成長がよく見えるからです。こうあってほしいと願い、思い描いている子ども像や、ほかの子・兄弟などと比べないためです。

 

上から見下ろしてこれくらいできるようになってほしいという観点では、子どもの成長はわかりにくいと思います。

 

理想的な子ども像やほかの子どもとわが子を比べるのではなく、親自身が子どもの成長を映す鏡になることが大切です。子どもは自分を映し出す鏡を見て、自分の成長を実感できるようになります。

 

昨日より今日どんなことができるようになったのかを、表情や言葉、態度などで映し返します。

 

たとえば、幼児期であれば、「10分しか座っていられなかったのに、15分も座っていられるようになったね」、児童期であれば、「朝起こされなくても、自分で起きることができるようになったね」「まえよりも我慢することができるようになったね」、思春期であれば、「自分の考えや意見が言えるようになったね」「よく気がつくようになったね」というふうに。

 

この点に関して、「そんなことでは甘すぎる! 競争社会では通用しないことをちゃんと示さないと将来大変です!」と心配になる方もいらっしゃると思います。

 

子どもは、保育園や幼稚園の頃から学校生活という集団生活の場で、社会人になってからも、自分と同世代の他人、兄弟・姉妹や従兄弟・従姉妹などと嫌でも比べられることが多い生活を経験します。自分より背が高い、成績がよい、かっこいい、足が速いなど。

 

自尊心や自己評価を支え育てるために、せめて身近にいる親には、自分の成長を認めてもらいたいものです。努力したことや成長したことを、言葉や態度で認めてあげてください。

 

それでは、「しつけ」について考えてみましょう。

次ページ「叱るしつけ」を頻繁に行うべきではないワケ

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『「心の育ち」と「自分らしさ」―子育てと自戒―』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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