9浪、27歳早大合格「偏差値を逆手に取れ」合格最低点でみる志願者数揺り戻しの絶対法則

9浪、27歳早大合格「偏差値を逆手に取れ」合格最低点でみる志願者数揺り戻しの絶対法則
(※写真はイメージです/PIXTA)

どうしても志望する大学に受かりたければ、例年の水準や最低点を考慮した上で、河合塾の偏差値を参考に、受験する学部を選別する方法があります。9浪して27歳で早稲田大学に合格した濱井正吾氏が著書『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

志願者数で偏差値も合格最低点も揺れ動く

早稲田大学も見てみましょう。

 

ここでは教育学部を例に挙げます。この学部では多様な学科があり、自分の能力を分析することで、入りやすい学科を見極めやすいです。

 

例年、合格最低点が低めに出るのは教育学科初等教育学専攻と同学科生涯教育学専修。合格最低点はどちらも似たようなもので、95/150点(1教科50点満点)に届くことは過去5年ありませんでした。

 

しかし、点数はほぼ変わらずとも、2018年度の入試を受けて、2学科間の偏差値に差ができました。この生涯教育学専修の合格最低点は94.495点で、2017年度の93.95点から0.5点ほどしか上昇していませんが、河合塾の偏差値が65から67.5と2.5上昇したのです。

 

つまり、例年はほとんど合格最低点の差がない学科間に、額面上の偏差値では2.5もの開きが出てしまったのです。

 

2018年度入試で、国語や英語で1.5倍の配点がある学科を除けば、文系学科で一番合格最低点が低かったのは先ほど挙げた初等教育学専攻の91.745点。2018年度も90.45点と一番低く、偏差値も65で据え置きのままです。

 

しかし、2016年度の合格最低点を確認すると、初等教育学専修が94.45点で、生涯教育学専修が88.45点と逆転していました。この学科の偏差値が67.5に上昇したわけです。

 

2018年も、表面上の偏差値は67.5でもほかの67.5の学科に比べれば合格最低点は低めです。生涯教育学専修は、もともと初等教育学専攻を除いた他の学科よりも、毎年合格最低点が低めであるという傾向があります。ここでもやはり、限りなく偏差値65に近い67.5なのだと言えます。

 

でも、どうしても早稲田に入りたい受験生は表面上の偏差値65だけを見て、合格最低点が低い初等教育学に出願しようとして、偏差値67.5の生涯教育学専修は避ける心理が働きます。しかし、こういうときこそ大勢の人が見る偏差値を逆手に取って他の受験生の思考を読み、3年分の合格最低点から判断するべきなのです。

 

実際、次の年に偏差値に2.5の開きがある双方の学科間の合格最低点は逆転しました。2018年度の生涯教育学専修は出願者が1165人、倍率が9.5倍でしたが、2019年度には960人、7.5倍とそれぞれ減少し、合格最低点も94.495点から92.224点になりました。

 

一方で、初等教育学専攻は2018年度の出願者が543人、倍率が11.9倍でしたが、2019年度にはそれぞれ669人、12.8倍に増加し、合格最低点は91.745点から94.254点になっています

 

人は表面上の数値で判断し、リスクを回避しようとする習性があります。でも、大事な決断こそ、人の心情まで計算して下さなければなりません。

 

勉強で知性を磨くとどうしてもデータをもとに合理的に判断しようとするようになりがちですが、社会で多種多様なバックボーンのある人々とうまくやっていくためには、実は数値や理屈だけで判断しないことも大事なのです。

 

この人の心を考える習慣は、競馬予想のオッズ変動や営業職で参考にし、磨き培った思考法です。

 

どうしても志望する大学に受かりたければ、例年の水準や最低点を考慮した上で、河合塾の偏差値が高く出ていると思った偏差値の学部に勇気を出して特攻し、逆に低く出ている学部学科を避けるのが賢明でしょう。

 

出願大学の合格最低点をチェックするのは最高の行動です。でも、1年分だけで終わらせるのは裁定が必要です。最低だけに。

 

濱井 正吾
9浪はまい

 

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本連載は濱井正吾氏の著書『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

浪人回避大全

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濱井 正吾

日本能率協会マネジメントセンター

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