2―景気と物価のトレードオフ
インフレが鎮静化する場合でも、どれだけの景気後退を伴うのかという論点がある。失業率とインフレ率のトレードオフ(いわば景気と物価の逆相関関係)を表現する曲線はフィリップス曲線と呼ばれ、米国では、2000年以降コロナ禍前までは低インフレと低失業率が両立、この曲線は下方に位置し、平らであった(図表2、緑色の●点および傾向線)。ただし、コロナ禍後の景気が回復する過程では、失業率が低下する一方でインフレ率が高まっている。つまり再びトレードオフの関係が生じているように見える(紫色の■点、曲線が上方シフトし、傾きがやや急になっている)。
中銀は、浅く短い景気後退を経験するものの、現在の失業率とインフレ率のトレードオフは「一時的」だと考えていると思われる(米FRBの12月時点の見通し中央値は、約2年かけてコロナ禍前と同じ傾向線上に戻ると見ている、青色の◆点)。市場は、年末年始にはより早期のインフレ圧力低下を予想していた。
ただし、労働者の価値観が変わり、失業率(景気)と物価のトレードオフがコロナ禍以降に変化した可能性もある。景気が底堅い状況では物価が(2%目標まで)低下しない、あるいはインフレ抑制を実現しようとすれば、深い景気後退(高い失業率)を余儀なくされる、といったことも考えられる。リスクシナリオとしてこうした状況も視野に入れておく必要がある。
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