(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症を発症するということは「法的な死」を意味することをご存じですか? 認知症が進むと、重要な法律行為ができなくなるからです。認知症を患うと「財産凍結」により家族でも預金が引き出せなくなります。さらに、実家も売れない、贈与もできないという事態に陥ります。では、どのような事前対策ができるでしょうか? 税理士向けに相続の講演なども行う税理士・牧口晴一氏の著書「日本一シンプルな相続対策」(ワニブックス)より一部抜粋し、分かりやすく解説します。

親が亡くなったあとの手続きは知らなくても大丈夫!

(1)直前、直後の心構え

医師からもらった「死亡診断書」は、直ぐにコンビニに走ってコピーを5部取る。死亡直後はこれだけの知識で十分です。

 

手続きを早くし過ぎないことも大切です。「銀行に知らせないと!」という方が多いのですが、逆に銀行には、すぐには知らせません。銀行では知った後、直ちに預金凍結します。するとすべての支払いがストップされますから、公共料金・クレジットカード・借入金返済・携帯電話など引き落としできなかった分を振り込まなければなりません。

 

葬儀が終わってから、ゆるゆると口座変更の手続きをすればよいのです。もちろん、連絡の前に銀行が死亡を知れば、預金凍結されてしまいます。

 

義父の経験では、数ヵ月後に年金の支払いが止まったことから銀行が知ることになり、そこで預金凍結になりましたが、罰金も何もありませんでした。

 

家賃収入などの収入があるケースでは、口座凍結で入金できなくなるのも困りものです。借主には早めに新規口座をお知らせすることです。

 

亡くなる直前・直後の預金引き出しは、様々な問題を引き起こすことがあります。

 

特に、「相続放棄できなくなる」のが最も大変です。亡くなった後に、故人の財産を使うと、相続放棄せずに相続したお金で支払ったとされるからです。

次ページ親の葬儀後の各種手続きを「シンプルにする方法」(1)亡くなる直前・直後の預金引き出しで絶対しておくこと

※ 本連載は、牧口 晴一氏の著書『日本一シンプルな相続対策』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再構成したものです

日本一シンプルな相続対策

日本一シンプルな相続対策

牧口 晴一

ワニブックス

普通の家庭にある日、突然に悲劇が訪れる! 認知症という「法的な死」があるのをご存じですか? 認知症になると「財産凍結」で家族でも預金は引き出せず、実家も売れない、贈与もできない……やがて遺言書も書けなくなる。 …

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