長期投資に欠かせない「地政学リスク」の視点
2021年以降の世界的なエネルギー価格の高騰は、ロシアによるウクライナ侵攻が大きく影響しているため、インフレ率と地政学リスクについてもみていきます。
インフレ率が上昇していく局面では、国際関係を左右するような大きな戦争が起こっています。戦争は、軍事需要が高まることや破壊されたインフラの再構築が必要になることから、モノの需要が飛躍的に拡大します。そのため、インフレ率は急上昇します。
一方、両世界大戦の狭間である戦間期(1920年代)や朝鮮戦争後の1960年代、米ソ対立の冷戦が終結した1980年代後半以降は、インフレ率が低下しました。“平和の配当”と表現されるように、政府予算を軍事費に割くことなく、より効率的な民間企業の活動が支援されるためです。健全な経済成長や金利低下、株価の上昇を謳歌できる時代といえます。
このように、国際関係における戦争と平和が、経済におけるインフレ率上昇とその抑制をもたらすことで、時代の節目が訪れるわけです。
私たちが長期投資をする場合には、国際関係の大きな潮目を予想する必要があります。これは新聞などを見ていれば、それほど難しいことはありません。10年単位で、国際関係が協調路線なのか対立路線なのかという具合に、おおざっぱに捉えていけばよいのです。
※当資料の閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください。ページに見当たらない場合は関連記事『中世ヨーロッパの時代から変わらない…世の中で「値上げ」が発生する“3つ”の要因【投資のプロが解説】』をご覧ください。
平山 賢一
東京海上アセットマネジメント株式会社 参与
チーフストラテジスト
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