(※写真はイメージです/PIXTA)

世界を見渡してみても、日本人の現金保有率(貯蓄率)の高さは顕著です。しかし、インフレ環境下の現在、タンス預金に置いておくことは「非情に不幸な運用手段」だと、東京海上アセットマネジメント株式会社の平山賢一チーフストラテジストはいいます。自らの大切な資産を守るため、インフレとどのように向き合っていけばよいのか、みていきましょう。

インフレ環境下…大切な資産をどう守る?

一般の資産運用の教科書では、家計の金融資産を「緊急出費対応部分」、「安定運用部分」、「積極運用部分」に分けることが推奨されているケースが多いようです。この3つのパーツは、インフレ環境下で、どのように考えればよいのでしょうか。

 

出所:東京海上アセットマネジメントが作成
出所:東京海上アセットマネジメントが作成

 

「緊急出費対応部分」の考え方

まず1つ目の「緊急出費対応部分」は、万が一のための費用をプールしておく資産です。この部分については、インフレ環境下か否かにかかわらず、考え方は変わりません。6ヵ月から1年分の収入を、すぐに換金できる資産に配分しておくべきです。

 

もっとも、換金性という点では、投資信託でもその多くは数日で換金できることから、必ずしも普通預金などでなくても構いません。

 

「安定運用部分」の考え方

次に2つ目の「安定運用部分」は、リスクを抑えて安定的なリターン(収益率)を目指す資産です。

 

インフレ環境下では、インフレ率をリターンが上回らなければ資産の実質的な価値が低下していきます。そこで、「安定運用」を「物価に連動する運用」と読み替えることでこの資産の位置づけを明確にすることができます。この部分は、将来の物価上昇に対する備えと考えることも可能です。

 

また、インフレになってもデフレになっても、資産の価値を維持できるという点で、最もリスクを回避した部分と表現することもできます。特にインフレ率上昇期にあっては、名目額を維持する運用をしていたのでは、物価上昇に負けてしまいます。名目額を維持するだけの運用は、安定運用のつもりが不安定運用になってしまうのです。

 

なお、タンス預金は、知らぬ間に世間の物価上昇に見捨てられてしまうという点で、非常に不幸な運用手段ということになるでしょう。

 

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