世界の有料道路関連株…「コロナ禍前」の水準で推移
世界的にインフレが進行するなか、東京海上アセットマネジメントは、高い参入障壁等により一定の地域においてモノ・サービス等を独占・寡占していると考えられる「モノポリー企業」に注目しています。今回は、一般的に参入障壁が高いインフラ・公益企業のなかから、「有料道路」のトピックをご紹介します。
【本記事のポイント】
・世界の有料道路関連の株価は、道路交通量の回復などを背景に、株価を戻して底堅く推移。
・オーストラリアの有料道路の交通量は、ビジネスや消費活動が戻り回復。インフレ率に比例する形で通行料が値上がりする仕組みを有し、通行料収入は物価上昇の影響を受けにくい特性を有する。
・世界の主要有料道路関連銘柄のEBITDA(キャッシュフロー)は2023年以降、コロナ禍の行動制限解除による人々の移動の活発化を背景に、拡大すると予想。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、大きく下落した世界の有料道路関連の株価は、社会・経済活動の正常化が進み道路交通量が回復したことなどを背景に、コロナ禍前の水準付近まで株価を戻して底堅く推移しています。
世界では、契約等により、インフレ率程度もしくはインフレ率に比例する形で毎年通行料を値上げすることができる有料道路が多くあります。インフレと景気後退の懸念がある市場環境下、有料道路運営企業は、インフレ環境下においてもキャッシュフロー成長が期待できることから、魅力的な投資先になることが考えられます。
主要国の道路交通量はコロナ禍前の水準付近まで急回復
イタリアのインフラグループのアトランティアが運営する有料道路の交通量は、新型コロナウイルスの感染拡大や政府の規制の影響を大きく受けたものの、その後、行動規制の緩和等を受けて急回復し、コロナ禍前の水準付近で推移しています。
また、同社が運営する有料道路の交通量は、原油などのエネルギー価格の高騰を受けて、ガソリン価格が大きく上昇したにもかかわらず、堅調に推移しています。道路交通量は、通勤や学校への送り迎えなどによる生活に不可欠なものが多く、景気が落ち込んだとしても、底堅い需要が期待されます。
豪州の道路交通量もビジネスや消費活動が戻り回復
オーストラリアの有料道路運営会社トランスアーバンが運営する有料道路の交通量は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の行動制限措置の影響を受けたものの、経済活動再開によりビジネスや消費活動が戻ってから回復しています。
インフレ率に比例する形で通行料が値上がりするのは、トランスアーバンの有料道路も例外ではありません。
シドニーにあるヒルズ M2の通行料は四半期毎に1%、またはインフレ率の高い方に連動し、ブリスベンにあるゲートウェイ・モーターウェイの通行料は毎年、ブリスベンのインフレ率に連動し、メルボルンにあるシティリンクの通行料の引き上げ率は年4.25%となっており、同社の業績は物価上昇の影響を受けにくい特性を有しています。
トランスアーバンの通行料収入をみると、シドニー、ブリスベン、グループ全体の通行料収入はコロナ禍前の水準に戻り拡大しています。