※画像はイメージです/PIXTA

株式譲渡はM&A手法の一つで、買い手に会社を丸ごと売却するのが特徴です。事業の全部か一部を売却する事業譲渡と比べ、手続きが簡単にできるというメリットがあります。非公開会社が株式譲渡を実施するときの手順や、売却時のポイントを確認していきます。

株式譲渡で会社を売却する際のポイント

自社を株式譲渡で売却しようと考えているなら、三つのポイントを確認しましょう。スムーズな取引を実施するために欠かせないポイントです。

譲渡制限、株券発行について確認

まずは売却する自社の株式について確認します。確認するのは『譲渡制限』と『株券発行』についてです。

 

中小企業であれば、株式には譲渡制限が設けられているケースがほとんどです。譲渡制限が設けられていると、売却するのに取締役会もしくは株主総会での承認を得なければいけません。

 

また株券発行の有無も株式譲渡の方法や要件に関わるため、事前に確認しましょう。どちらも株式譲渡の手続きに影響する点です。

株式が分散している場合

株主が経営者以外にも複数人いて株式が分散しているなら、株式譲渡を実施する前に買収し集約しておくと手続きがスムーズに進むでしょう。

 

経営者以外にも株主が複数名いる場合、買い手が経営者の持つ株式を全て買収しても、会社の支配権を得られないかもしれません。その結果、会社経営に必要な決定を迅速に下せない可能性があります。

 

また経営者が発行済株式の半数以下しか保有していなければ、取締役会や株主総会で株式譲渡が非承認となる事態も起こり得るでしょう。

 

株式譲渡を実行するには、最低でも2/3以上の株式を集約し、支配権を買い手へ移せるようにしておきます。

簿外債務などマイナスの情報も開示する

帳簿に記載されない簿外債務は、買い手にとって不要なものです。しかし株式譲渡の手法でM&Aを実施する場合、会社を丸ごと引き継ぐため、買い手は簿外債務も引き継がなければいけません。

 

そのため簿外債務がある場合、買収価格の減額交渉が行われるのが一般的です。そこで簿外債務やその他のマイナスの情報を知っているにもかかわらず、買い手に知らせない売り手もいるでしょう。

 

黙っていれば買い手に知られず、買収価格の減額交渉も行われないかもしれません。しかし株式譲渡契約書には表明保証の条項を設けるケースが多く、後から簿外債務が見つかれば責任を追及され、損害賠償請求の可能性もあります。

 

このようなリスクを避けるため、マイナスの情報も含め全てを開示しましょう。

目的や事情に合った手法の選択を

M&Aを実施するときの代表的な手法が株式譲渡です。手続きが比較的簡単なことから、中小企業のM&Aでよく利用されています。株式を売却することで、買い手に会社の所有権や支配権を移す手法です。

 

中小企業のほとんどは上場していないため、売り手と買い手がじかに取引を行う相対取引で株式譲渡が行われます。企業価値評価で算出された価格をもとに、交渉によって価格が決まる仕組みです。

 

ほかには、買い手が引き継ぎたい事業を選択し売却する事業譲渡でM&Aを実施するケースもあります。それぞれの手法について知り、目的に合う取引を選びましょう。

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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