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サーチファンドとは、経営者を目指すサーチャーと呼ばれる人材が魅力的な企業を見つけ、投資家から出資を受けて買収する手法です。後継者不在で黒字なのに廃業する企業が増える見込みのなか、解決策としてサーチファンドが注目されています。みていきましょう。

日本は大廃業時代を迎える

今後日本では、多くの中小企業が廃業するといわれています。中には黒字であるにもかかわらず、後継者がいないことで事業の継続を断念するケースもあるでしょう。このような背景下で、注目されているのがサーチファンドです。

2025年問題とは

日本企業の約99%は中小企業です。これらの中小企業の経営者は団塊世代の占める割合が高く、2025年には後期高齢者の年齢(75歳)に達します。

 

引退を考える経営者も多い年齢のため、たくさんの中小企業が廃業の危機を迎えるでしょう。事業が順調で財務的にも何ら問題のない状態であったとしても、体力面から事業をやめなければいけないかもしれません。

 

後継者がいれば、事業承継により廃業を免れます。しかし後継者がいなくても特に対策をせず、自分の代で廃業しようと決めている経営者も少なくありません。

 

引退する経営者の多さに対し、親族内承継を望む後継者や若手経営者が少ないことから、深刻な後継者不足が問題視されています。

サーチファンドが救世主となる?

後継者不足により発生する大量の中小企業の廃業に対し、サーチファンドで対策できるかもしれません。経営者を目指す人材が投資家を集め、出資してもらい企業を買収する仕組みを利用し、後継者不在の企業を事業承継する方法です。

 

まだ事例は少なく、出口戦略まで実施された案件は国内にはないようです。ただし実施されているサーチファンドの動きにおいては、事業承継の受け皿として、金融機関や自治体が資金を出し合っています。

 

そのため、買収した企業を成長させ、より高額で売却し売買差益を得る方向性ではなさそうです。長く企業を存続させられるような経営を求められる可能性が高いでしょう。

 

◆欧米におけるサーチファンド

国内では買収企業の存続を求められるケースが多いようですが、欧米では買収企業の成長後に売却して得られる、売買差益に重きが置かれています。

 

欧米ではMBA(経営学修士)の取得後に目指すキャリアとして、サーチファンドで経営者となる起業家が増えているようです。中には、買収した企業を大企業へ成長させたケースもあります。

サーチファンドを活用した事業承継の方法

サーチファンドの手法で事業承継を実施するには、経営者を目指す人材(サーチャー)を支援する『サーチファンド投資事業者』を活用します。日本初の案件を実施した事業者として知られているのが『サーチファンド・ジャパン』です。サーチファンド・ジャパンは2020年10月の設立以降、サーチャーを支援し事業承継投資の実施を目的に活動しています。

サーチャーの特徴

通常であれば、企業を買収するには大きな資金が必要です。買収金額は対象企業により異なりますが、数億円といった高額になるケースも珍しくありません。

 

サーチファンドを利用すれば、サーチャーは高額な資金を用意しなくても買収できます。そして買収後は、企業価値の向上に努める役割を担います。

リスクを抑えて経営者を目指せる

企業を買収し経営者になるには、高額な資金が必要です。すべての資金を自己資金で用意できない場合は、融資を受けなければいけません。

 

買収し引き継いだ事業が好調であれば問題ありませんが、業績が低迷すれば返済が滞るケースもあるでしょう。万が一返済できなくなれば、生活がままならなくなる可能性もあります。

 

このような大きなリスクを負うことなく企業を買収できるのがサーチファンドです。サーチファンドでは、投資家から出資を募り資金を集め、投資家が株式を保有します。

 

投資家の持つ株式のうち一部をサーチャーへ提供し、経営を委託する形式を取ります。そのため優秀な人材であれば、リスクを抑えつつ経営者を目指せるでしょう。

役割は買収した会社の企業価値を高めること

投資家から集めた資金によって企業を買収し、経営者となったサーチャーは『企業価値』を向上させるのが務めです。経営者として、企業が持つ資産を活用し利益を最大化することを目指します。

 

国内のサーチファンドでは、企業価値を高めて売却するより、長く経営を続けることが重視される傾向が見られますが、投資資金回収のために収益アップは欠かせません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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