妻「60歳~65歳」になるまでの間に「寡婦年金」支給の可能性が!“知らないと損する”〈遺族年金制度〉のホント【社労士が解説】

妻「60歳~65歳」になるまでの間に「寡婦年金」支給の可能性が!“知らないと損する”〈遺族年金制度〉のホント【社労士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「遺族年金」というものを、本当に知っていますか? 遺族年金は非常に便利な制度ですが、認識を誤れば、支給されなくなってしまう可能性が大いにあります。遺族年金を受けられる条件について、特定社会保険労務士・社会福祉士の脇美由紀氏の著書『夫が、妻が、自分が、親が「まさかのときに備える」 知っておきたい 遺族年金』(ビジネス教育出版社)の中から一部を抜粋して紹介します。

子を養育しない世帯が受ける可能性のある遺族年金

子を養育しない世帯には、遺族基礎年金が支給されないことをご存じですか?

 

「子を養育しない世帯」とは

子を養育しない世帯とは、子がいない夫婦のみの世帯です。子が18歳年度末(障害のある子は20歳)を超えているとき、一定の年齢に達していなくても婚姻しているときなども、子を養育しない世帯になります。

 

子がいなければ遺族基礎年金は支給されない

子を養育しない世帯には、遺族基礎年金は支給されません。一方で、亡くなった人に厚生年金の加入期間があれば、遺族厚生年金が支給される可能性があります。

 

ここでは、夫婦の一方が亡くなったときを想定してタイプ分けをしていますが、配偶者がいないときには、父母、孫、祖父母に遺族厚生年金が支給されることがあります。

 

寡婦年金が支給されるとき

夫が亡くなり、夫の国民年金の加入状況や婚姻期間などの要件を満たせば、遺族である妻に60歳から65歳になるまでの間、寡婦年金が支給されます。

 

死亡一時金が支給されるとき

亡くなった人の国民年金の加入状況等により、死亡一時金が支給される可能性があります。寡婦年金と死亡一時金の両方の要件を満たすときは、どちらかを選択して受けます。65歳前に他の年金を受ける権利があれば、それらを含めて有利な選択方法を考える必要があります。

 

30歳未満の子のない妻の遺族厚生年金

30歳未満の子のない妻が受ける遺族厚生年金は、5年有期の遺族厚生年金になります。

 

 

 

 

国民年金期間のみの夫が亡くなったとき

国民年金の期間のみを有する夫が亡くなり、妻が遺されたときに支給される遺族年金をご存じですか?

 

遺族基礎年金は支給されない

子を養育しない世帯に遺族基礎年金はありません。

 

遺族厚生年金は支給されない

亡くなった夫に厚生年金の加入期間がなければ、遺族厚生年金は支給されません。

 

寡婦年金が支給されることがある

亡くなった夫に国民年金の第1号被保険者期間が10年以上あるときは、妻が60歳から65歳になるまでの間に、寡婦年金が支給される可能性があります。婚姻期間が継続して10年以上などの要件があります。

 

寡婦年金を受けられる期間に、老齢年金や障害年金などを受ける権利があるときは、いずれかひとつの年金を選択して受けます。

 

死亡一時金が支給されることがある

死亡一時金が支給される可能性があります。寡婦年金の要件も満たすのであれば、どちらかを選択することになります。

 

妻が65歳になると

妻が65歳になると、自身の年金加入期間に基づく老齢基礎年金が支給されます。妻自身に厚生年金の加入期間があれば、老齢厚生年金も合わせて支給されます。

 

夫が亡くなったことによる遺族年金の支給はありません。

 

将来に遺族厚生年金を受ける可能性

現時点において、上記で説明したような状況であっても、今後、夫が厚生年金に加入することで、遺族厚生年金を受けられる可能性があります。あくまでも可能性であり人それぞれです。また、将来のために、妻自身の老齢基礎年金や老齢厚生年金、公的年金以外の年金などを増やすこともひとつの方法です。

 

 
夫が、妻が、自分が、親が「まさかのときに備える」 知っておきたい 遺族年金

夫が、妻が、自分が、親が「まさかのときに備える」 知っておきたい 遺族年金

脇 美由紀

ビジネス教育出版社

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