遺族年金は「収入が多いと支給されない」
遺族年金は、遺族に収入が多いと支給されないことをご存知ですか?
収入が多いと遺族年金は受けられない
生計を支えていた人が亡くなったら、遺された家族の生活が困難になります。そのため、亡くなった人が生計を維持していた家族に対して、遺族年金が支給されます。
遺族年金の生計維持とは、「社会通念上普通の生活水準を保持するための相互維持の関係も含まれる」とされているため、いわゆる共働きのときも生計維持関係が認められています。しかし、遺族の収入が一定基準以上のときは、「生計を維持されていなくても、生活が可能であった遺族」として遺族年金は支給されません。
収入にかかる認定基準
上記が収入にかかる認定基準です。また、次のいずれかに該当する者は、認定基準に該当するとされています。
①前年の収入が年額850万円未満であること
②前年の所得が年額655万5,000円未満であること
③一時的な所得があるときは、一時的な所得を除いた後、前年の収入が年額850万円未満、または、前年の所得が年額655万5,000円未満であること
④①〜③に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来(おおむね5年以内)に収入が年額850万円未満、または、所得が年額655万5,000円未満となると認められること
前年の収入および所得が確定していないときは、前々年の収入と所得で判断されます。
将来の収入減少が推認できるときとは?
基準額以上の収入や所得があっても、収入要件が認められることがあるのをご存じですか?
将来の収入減少が明らかなとき
家族が亡くなったとき、その遺族に基準額以上の収入(前年の収入850万円以上および所得655万5,000円以上)があっても、おおむね5年以内に基準内になることが明らかなときには、収入要件を満たすとされています。例えば、会社の退職規定により5年以内に定年退職の年齢に到達するのであれば、収入がなくなることが推認され、「おおむね5年以内に基準内になることが明らかなとき」に該当します。
退職規定がない会社では、その会社のほとんどの人が一定年齢に到達した時点で退職しているようなときには、その慣例・通例に基づき退職すると推認されます。その他の具体例は次の通りです。
将来の収入減少を証明する書類
家族が亡くなったときに、その遺族に恒常的に収入850万円以上および所得655万5,000円以上があるものの、おおむね5年以内に基準内となることが明らかなときには、その事情を証明する書類を提出する必要があります。
例えば、定年退職であれば、就業規則等の退職規定の定年退職の条項の写しを提出すれば確認資料となります。将来の収入の減少が見込まれる書類の提出ができないときは、過去複数年の収入の状況から、将来の収入が推認され判断されます。
「おおむね5年以内」とは
「おおむね5年以内」 とは、亡くなった日から5年以内を指しますが、5年数ヵ月後の定年退職が明らかな場合等については、5年を超える場合であっても認められるとされています。具体的な範囲は決まっていませんが、5年と1〜2ヵ月程度が適当とされています。