遺族厚生年金の額の計算方法は?
遺族厚生年金の額は、亡くなった人の厚生年金の加入状況や平均月収、該当要件などによって決まることをご存知ですか?
遺族厚生年金の基本額の計算
遺族厚生年金の額は、遺族基礎年金のように定額ではなく、亡くなった人の厚生年金の加入状況や平均月収などを基に計算されるため、人それぞれです。おおまかにいえば、次の計算式によって計算されます。
「平均月収」 は、厚生年金に加入していた期間の報酬を現在価値に引き直した金額の平均です。平成15年4月以降は賞与分を含んでいますが、本書ではまとめて「平均月収」と記載します。乗率が異なる平成15年4月前後で分けて計算し合算します。生年月日による乗率の違いもありますが昭和21年4月2日以降生まれの人は同じです。
「平均月収×乗率×厚生年金加入月数」 を報酬比例部分といいます。つまり、遺族厚生年金は亡くなった人の報酬比例部分の4分の3の金額です。
遺族厚生年金の額は人それぞれ
遺族厚生年金の額は「平均月収」と「厚生年金加入月数」の多い人ほど遺族厚生年金の額が高くなります。例えば、平均月収30万円、厚生年金に20年加入(平成15年4月以降の期間)なら年約29万円、平均月収が同じで厚生年金加入が40年なら約59万円になります。なお、一定の要件を満たせば、より多くの遺族厚生年金を受けられる場合があります 。
平成27年9月までの共済組合等の期間がある人が亡くなったときには、遺族共済年金(経過的職域加算)も支給されることがあります。これにも支給要件があるので、共済組合等で確認が必要です。
遺族厚生年金には“特別な計算や加算がある”
遺族厚生年金には、特別な計算や加算があることをご存じですか?
一定の要件を満たせば年金額が増える
遺族厚生年金の基本額は「平均月収×乗率×厚生年金加入月数×4分の3」で計算されますが、一定の要件を満たせば、より多くの年金を受けられる場合があります。特別な計算と加算額の2種類があります。
特別な計算が行われるとき
特別な計算が行われるのは、遺族厚生年金の短期要件を満たすときです。短期要件は、①厚生年金加入中に亡くなったとき、②厚生年金加入中に初診日のある傷病により初診日から5年以内に亡くなったとき、③障害等級の1級または2級の障害状態にある障害厚生年金を受けている人が亡くなったとき、の三つです。
亡くなった人の厚生年金の加入期間が300月(25年)未満のときは、最低保障として25年加入していたとみなして年金額が計算されます。
例えば、入社1年目の厚生年金に加入中の会社員が亡くなったときは短期要件に該当し、25年の厚生年金の加入期間があるものとして計算されます。なお、25年以上の厚生年金の加入期間がある人は、実期間で計算したほうの年金額が多くなるため、最低保障は必要ありません。
遺族厚生年金に加算があるとき
中高齢寡婦加算(または経過的寡婦加算)が遺族厚生年金額に加算されることがあります。加算が行われるのは、遺族厚生年金の要件が短期要件、もしくは長期要件で厚生年金の加入期間が20年以上のときであり、遺族が妻の場合に限られます。
特別な計算や加算がないとき
遺族厚生年金の長期要件を満たし、その厚生年金の加入期間が20年未満であるときは、原則として実際の厚生年金の加入月数で計算され、加算はありません。