基本的に融資をしたいが…銀行が抱えるジレンマとは?
多くの中小企業経営者が、「銀行との折衝にはとても気を使う」という。銀行から融資を受けられるかどうかによって、資金繰りに重大な影響があるとすれば無理もない。しかし、きちんと事前準備をしておきさえすれば、それほど恐れる必要はない。
繰り返しになるが、銀行も融資しなければビジネスにならないからだ。銀行は、基本的に融資をしたい。ただ、貸したはいいが返済してもらえないのも困る。これが銀行の永遠のジレンマである。
担当者は、決算書や融資申込書などから、あなたの会社が資金調達をすることに経済的な合理性があり、しかも返済能力もあるかどうかを検討する。それは通常、微妙な判断になり、判断材料が少なければ、「もう少し様子を見よう」となる。
融資をしなかったことで他の銀行にメインバンクの座をさらわれるより、無理に貸して焦げ付くほうがよほど怖い。それが分かれば、対策は見えてくる。
まず、必要書類を事前にきちんと準備して、銀行が審査しやすいように提出する。メガバンクの支店担当者であれば、1人で100〜150社の取引先を担当している。それだけある取引先の中で、「この会社には貸したい」と思わせるには、読みやすく中身のある決算書を提出するのが一番だ。
不備が多く、読みにくい決算書や事業計画書であれば、それだけで担当者としてはモチベーションが下がってしまう。処理がどんどん後回しになるのは当然だろう。
「優秀な担当者」を味方につける
「たかが必要書類」ではなく、「必要書類の準備こそ全て」なのだ。また、取引先の企業であっても、銀行の担当者はそれほど業界の専門知識があるわけではない。それぞれの業界やビジネスについては、基本的に素人同然と考えておいたほうがいい。だから、融資申し込みにあたっての説明は、素人に一から話すような分かりやすい説明を心がける。
逆に言うと、銀行の担当者の能力は、彼らがどんな質問をするかで分かる。こちらの業界のことや専門分野のことについて知ったかぶりをしたり、重箱の隅をつつくような細かいことを脈絡なく聞いてくる担当者は、あまりできがよくない。
優秀な担当者は、取引先企業の事業全体を見渡して、大所高所から融資の判断に関連するような質問をさりげなく聞いてくる。
そういう担当者は「できる」タイプであり、ぜひ自社のことや経営方針を理解してもらい、味方になってもらうようにすべきだ。