足元のインフレを分析
先週は、1月分の米個人所得・個人消費支出(PCE)統計が公表されました。
[図表1]に示すとおり、前年同月比で見たPCEインフレ率は鈍化しています。強気派にとっては良好なサインです。
しかし、[図表2]に示すとおり、個人消費支出の6割超を占める「サービス」のインフレ率(前年同月比;直近は5.7%)を取ると、伸びが拡大しています。
[図表3]は「前月比」を見たもので、「足元の勢い・モメンタム」を確認できます。1960年からながめてみても、現在の「サービス」のインフレ率は「上昇の勢い」を保っていることがわかります。
強気派にとっての「よりどころ」は、[図表4]に示すとおりです。1970年代の2度のオイルショックのように、「財」の供給ショックによってインフレが加速したケースでは、まず「財」のインフレ率が上がり、それが賃上げを促して「サービス」のインフレ率が上がり、反対に、鈍化するときも「財」が先で、「サービス」が後というふうに動きます。
この関係にしたがうと、今回も「財」のインフレ率が鈍化しているので、「サービス」のインフレ率も鈍化することになるかもしれません(→ただし、今回は、労働者による労働市場からの退出という「サービス」の供給ショックも起きています)。
ほかにもさまざまな指標がありますが、筆者も、インフレは、少なくともいったん(1-2年程度)は鈍化していくと考えています。しかし、問題は、インフレ鈍化の前に、インフレを鈍化させようとする利上げ、そして市場金利の上昇が続く可能性があるということです。