公務員の人事制度を変えよ
日本的雇用慣行は民間企業だけでなく、官公庁でも広く普及しています。日本の雇用を変えるためにも、公務員の人事制度も変わる必要があります。いえ、むしろ民間企業に率先して、先に変わっていくべきでしょう。
今、日本では官僚の人気が落ちています。
キャリアと呼ばれる国家公務員総合職の志願者は減少傾向にあります。2022年度の春の国家公務員総合職試験への申込者は6年ぶりに増加に転じたものの、過去2番目に少なく、10年前の3分の2を下回っています([図表1])。
また、若い官僚の離職率も高まっています。人事院によると、在職10年未満の総合職の退職者数は2020年度に109人と、2013年度の76人から約4割増えています。
官僚の人気が凋落した理由としては、まず、長時間勤務があげられます。国家公務員(本府省)の2019年の超過勤務の年間総時間数は348時間で、民間の127時間の2.7倍となっています2。
2 厚生労働省「令和3年版過労死等防止対策白書」
20代の官僚の3割が過労死ラインとされる月80時間を超える残業をしているとの報告もあります。長時間労働の大きな理由としては、国会対応が長年、指摘されています。また、年功序列的な組織運営も人気低下の原因です。
官僚は国家の屋台骨です。職場環境を改善し、優秀な人材が官僚機構に集まるようにしなくてはいけせん。そのためにも、給料は年功序列ではなく、能力に応じた給与体系にし、能力の高い官僚には、民間に劣らない給与が支払われる必要があると考えられます。
また、中途採用や転職者再雇用の促進や、一定以上のポストについては公募制も導入するなど、採用制度の見直しを検討すべきでしょう。さらに、長時間労働の元凶となっている国会対応のあり方も見直す必要があると考えられます。
宮本 弘曉
東京都立大学経済経営学部
教授