(写真はイメージです/PIXTA)

相続税は、金銭で納付することが原則です。相続財産が多すぎるなど、金銭で納付できない場合には「物納」を選ぶことができますが、その要件は厳しく、申請をしても却下される事例が少なくありません。本記事では相続税の例外的措置「物納」が許可されないケースについて、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

物納申請の「期限」と「必要書類」

物納をするためには、上述のとおり、相続税の納税期限までに、被相続人の住所地を管轄する税務署に各種必要書類を提出する必要があります。もし、必要書類を相続税の納税期限までに提出できない場合は、提出期限の延長を求めることも可能です(延長は最長1年間です)。 ただし、提出期限を延長する場合は、延長期間について利子税を納める必要もありますので、注意が必要です。

 

物納申請をするための必要な書類は、「相続税物納申請書」や「金銭納付を困難とする理由書」、「物納財産目録」などです。 客観的な裏付け資料等を添付することもありますので、これらの書類の作成については、税理士などの専門家に依頼されるといいでしょう。これらの書類を提出すると、税務署は、物納の要件を充たしているか調査を行い、原則として、申請の期限から3ヵ月以内に許可または却下をすることになります。 却下された場合には、1回限り再申請を行うことが可能です。

物納を検討したら…

(※画像はイメージです/PIXTA)
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以上のとおり、相続税の「物納」は非常にハードルが高く、申請をしても却下される事例が少なくありません。相続財産のなかに十分な金融資産があったり、相続人に納税しうる十分な資力がある場合などは、当然「物納」は認められません。

 

そのため、「物納」を検討する場合は、まずは「物納」の要件を充たしているか、早めに税理士の先生に確認しましょう。「物納」の要件を充たしている場合は、申請書類の作成を進め、なるべく相続税の納税期限までに物納の申請をするようにしましょう。

 

相続税の「納税対策」

(※画像はイメージです/PIXTA)
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相続税の「物納」は、以上のとおり、要件も厳しく、申請をしても許可してもらえないこともあります(令和2年度の申請件数は65件、許可件数は53件)。そのため、相続財産が多く、多額の相続税を納税が生じる場合は、被相続人の生前に、相続税の納税金額の試算を行い、納税対策をとるようにしましょう。相続財産のなかで「管理処分不適格財産」に該当するものがあれば、事前に処分しておくことも一案です。

 

相続税に詳しい税理士に事前に相談をして、納税に必要な資金を相続人が承継できるよう、準備をしておくとよいでしょう。

早めに税理士に相談を

(※画像はイメージです/PIXTA)
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相続税の「物納」は、「物納」ができる財産が制限していたり、手続きが複雑だったりします。 そのため、なるべく早く税理士などの専門家に相談をして、「物納」が可能かを確認するようにしましょう。

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所

 

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