「必要度」という理論…自分の役割に集中させる
必要度とは、そのときどきになにが最も必要性が高いかによってつけられる優先順位のことです。人の思考は必要度が最上位のものにしか働きません。
たとえば、デイトレードにのめり込み、就業時間中も相場に夢中になっている人を想像してみてください。表面的には仕事をしていても、頭のなかは相場でいっぱいという状態です。信長がこの内容を知っていたかどうかは不明ですが、おおよそ次のように考えていたとされています。
「農家は農業で生計を立てなければならない。ならば、兵士でも生計を立てられる道を作ればいい。しかも、継ぐ家が無い次男や三男を雇えば、一層、戦に集中するだろう」
こういった狙いから、信長による職業兵士の軍隊がつくられていったのです。もちろん、この職業兵士を維持するには豊富な資金が不可欠です。それゆえ、信長は商業の活性化にも力を注いでいます。すべては強い国を目指し、戦の勝利から逆算した国づくりを進めていったからだといえるでしょう。
たとえば、この逆算の考え方は織田軍の組織図に表れています。成熟期の織田家は方面軍システムを採用していました。方面軍とは、軍隊を本営といくつかの軍団にわける考え方を指します。
織田軍でいうと北陸方面軍は柴田勝家、中国方面軍は羽柴秀吉といったように、各地域に責任者がいて、その支配下での戦略は各責任者に任せられていました。つまり、信長がすべての意思決定をしていたわけではないのです。
信長が待つのは勝利の報告のみでした。だから織田軍の動きは速かったのです。専業兵士が生きる糧を得るために戦に集中するように、責任者の立場にある武将も自らの役割を果たすために、指示待ちではなく、必要な意思決定を下せる、そういう組織を作っていたのです。
役割と権限を明確にし、結果に集中させる、いつの時代も強い組織には共通項があるとわかりますね。
織田信長も実行していた…強い組織の作り方
強い組織を作るにはピラミッド型組織の1つである「編成型組織」の構築がお勧めです。これは、目的やルール、役割、責任範囲などが明確になっている組織で、ロスタイムが少ない、動きが早い組織であると解説しています。
リーダーが、部下のやることなすこと諸事万端に意識を向け、配慮していたら、組織の成長は促進されるでしょうか。そんなことはあり得ません。リーダーだからこそ組織の到達点を見据え、部下が達成すべき目標を設定したらそれ以上はなにもいわないのです。
リーダーが目標を設定したら、部下が一斉に走り出す。武将が天下統一に向けて全力で動き出す姿と重ね合わせて見てください。まずは組織が目指す先、組織の目標を明確にしてください。もちろん数値と期限の設定を忘れずに。
そして、その達成度合いに応じた評価の内容もはっきりさせておきましょう。武功を挙げればより多くの糧を得る、挙げなければ糧は得られない。この原則から目を背けてはいけません。目を背けることは組織の成長を妨げ、それこそ社員の不幸に繋がってしまいます。
仲 悠将
株式会社識学
西日本営業部 課長/シニアコンサルタント
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