(※写真はイメージです/PIXTA)

一般に、BI(ベーシックインカム)とは、最低限暮らしに必要な現金を、無条件ですべての個人に死ぬまで定期的に支給する政策である。所得、資産、能力、職歴等の条件を問わずに支給される。生活保護や配偶者控除が世帯単位の給付制度であるのに対し、個人が対象であるという特徴を持つ。ここでは、BIの導入を仮定し、支給水準としてはどのくらいが妥当であるかについて検討したい。

年金とBIを合わせる?

一方、高齢者人口(65歳以上)は、3515万人(27.7%)である。厚生労働省の「後期高齢者医療制度被保険者実態調査」(平成30年度)によれば、75歳以上のお年寄りのうち、年金収入なしの人が60万2554人、年金はあるがその金額が100万円未満の人が609万6743人となっている。

 

高齢化社会は、身体的機能の低下等により、みんなが必ず障害者になる社会であるともいえる。いつ障害者となるか、あるいは障害者として暮らす時間の長さが違うだけである。

 

したがって、住居が別途確保されていても高齢者には、最低限、年金とBIを合わせて、障害年金と同等程度の給付額が必要だろう。年金制度が改善され、すべての高齢者がそれなりの年金を受給できるのであれば、高齢者に関してはBIの給付額を半分にして、10兆円~14兆円予算を節約することもできる。

 

年少者や高齢者は、現物給付の必要性も高いので、これらを現物給付改善の財源とすることも考えられる。

 

さらに、現在の日本社会では、給与や家事.育児負担、介護等において、男女の不平等が存在することを考えると、BIの金額に男女間で差をつけ、女性に厚く給付することも考えられる。

 

女性は、国民年金のみだったり、厚生年金であっても男性と比べて勤務期間が短かったりするなどの理由から、公的年金の平均受給額が少ない。

 

「平成30年度 厚生年金保険.国民年金事業の概況」(厚生労働省年金局)によれば、厚生年金の場合、2018年度の平均受給額は男性が月額17万2742円に対し、女性は10万8756円だという。

 

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2018年)によれば、労働者全体を平均して見たときの男女間賃金格差は、一般労働者の平均所定内給与を男女で比べると、男性を100としたときに女性は73.3という状況である。

 

そこでこれらを勘案し、仮に一人当たり月額7万円のBI財源があるなら、たとえば、平均所定内給与に反比例させて男性5.8万円、女性8.2万円給付するといった連動性を持たせることが検討されてもよい。

 

このようにすると、BIに男性から女性への所得再配分の機能を持たせることもできる。

 

 

西野 卓郎

特別区長会調査研究機構 主任研究員

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ベーシックインカムから考える幸福のための安全保障』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

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