子どもの配偶者や孫を養子にし、相続税を大幅に減らす
相続人を増やせば相続税率が低くなる
資産家で子どもが少ない場合、多額の相続税を納めることになります。そこで、生前対策として、子どもの配偶者や孫を養子にし、相続人を増やすという方法があります。
相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×相続人の数」なので、相続人が1人増えると600万円控除額が増えます。さらに、相続人が1人増えることで、相続税の計算過程における按分割合が変化するのです。
相続税の計算は、
②その控除後の数字を、相続人ごとの法定相続分で按分する。
③按分後の数字に対し、該当する相続税率を掛け、控除額を引く。
④算出された金額を合計することで、一家全体の相続税額が分かる。
この計算過程の終盤で、按分後の金額に相続税の税率をかけていますが、この相続税の税率は、累進課税(金額が大きくなるほど高くなる)なので、按分後の金額が小さいほど低い税率となり、税金が安くなります。
では、親戚をたくさん養子にしてしまえばよいのではと思うかもしれませんが、そうはいきません。実子がいない家庭の場合、法定相続人にできる人数は2人まで、すでに実子がいる場合は1人まで、さらに孫養子が相続した財産には相続税が2割加算されるといった注意すべきポイントがあります。
また兄弟の了承なく養子縁組をするとトラブルの原因になります。養子縁組を活用した節税対策は、被相続人が亡くなるぎりぎりまで活用できるので、相続専門の税理士に相談してからでも遅くはないでしょう。
子どもに車を買ってあげるなら、親名義で買いなさい!
子どもは喜び、親は節税になり、経済は活性化する
親が子どもに車や家を買ってあげた場合、その金額が贈与税の基礎控除である110万円を超えると、受け取った子どもには贈与税がかかります。
仮に車が300万円だとしたら、子どもは翌年の確定申告で19万円の贈与税を払わなくてはなりません。子どもが19万円の贈与税を自分で払えば問題ありませんが、「19万円がない」といい、親が税金のお金を出したら、その19万円も贈与を受けたことになります。
そこで、親が自分の名義で車を買い、それを子どもが使えば、この車は子どもが親に買ってもらったものではなく、親のものを使っているだけなので贈与税はかかりません。
家も同様です。家は住宅取得等資金贈与の特例を使ってもよいのですが、特例を使わずとも親が自分の名義で家を建ててから、そこに子どもが住めば贈与ではありません。家の表札に子どもの名前を掲げたとしても、そもそも家は登記簿上では親の名義ですから、表札は誰の名前でも関係ないのです。
親名義で家を建てれば、将来、親が亡くなったときの相続税を減らすこともできます。子どもは喜び、親は相続税の節税になり、経済も活性化する「三方よし」の状態となるでしょう。
特定の子どもや孫のエコ贔屓はやめよう
子どもや孫が複数いる場合、「あの子だけ車を買ってもらった」などと、1人だけエコ贔屓をすると、他の親族から苦情が出ることが多々あり、自分の死後に起きる相続争いにつながります。他の子どもや孫にも平等な財産分けの配慮を忘れないようにすることがとても大事です。
秋山 清成
秋山清成税理士事務所
税理士