「タンス預金はギャンブルで消えた」と答えた人の末路
本当にギャンブルに消えていた場合
私のお客さまから「親が本当にギャンブルや夜のお店で高額なお金を使い果たしたとしても、税務署からは脱税を疑われてしまうのか?」また「親が高額なタンス預金をしていたとしても、ギャンブルや夜のお店で使い込んでいたと言えば、税務調査官にはバレないのか?」という質問がよくあります。
その答えは、ズバリ、前者の相続人はありのままの本当の事実を証言してください。
その証言をもとに調査官はギャンブルを故人と一緒に楽しんでいた友人や、スナックへ支払いの調査をし(国税通則法第74条の3の質問検査権により、調査官は一般の人への調査が許されている)、どんなに調査をしても出てくるのは大金を使った証言どおりの事実であれば、追徴課税を受けることはありません。
「ギャンブルに使った」と嘘の供述をした場合
しかし、後者のようにタンス預金をしながら「親がギャンブルに使った」と嘘の証言をした相続人は、実際の事実を捻じ曲げ、財産の仮装・隠ぺいを行ったことになります。
調査官は税金逃れや嘘の証言を見抜くプロですから、嘘の証言はすぐにバレてしまいます。結果として、嘘をついた家族には、納めるべき税金のほかに重加算税(最高40%増し)という重いペナルティと、長期間に及ぶ延滞税が課税されることになります。
もし、今、気になる部分があるという人は、相続専門の税理士に相談をし、問題を解消しておいておいたほうがよいでしょう。
税務署は“非課税枠前後の相続税無申告者”を狙っている
調査官出世のキーワード「増差額」
税務署では、税務調査で不正や申告漏れで見つけた財産のことを「増差額(ぞうさがく)」と呼んでおり、調査官が見つけた「増差額」は多いほうが上司から高い評価を受けます。
そこで、皆、金額を積み上げようと熱心に仕事をするわけです。
例えば、亡くなった人の財産が1億円という内容の申告書が提出された後、税務調査で「申告が漏れている財産はないか」「相続人が隠している財産はないか」と手間をかけて証拠を集めた結果、申告漏れの財産を2000万円見つけたとすると、この案件の「増差額」は2000万円です。