iDeCoにおける4つの留意点
ちなみに、iDeCoにも留意すべき点があります。以下の4つです。
1. 原則として、60歳までは引き出すことができない。
2. 手数料がかかる。
3. 運用がうまくいかなかった場合、お金が増えず、元本を割る可能性がある。
4. 受け取りに関しては、留意しなければならない点がある。
1. の「60歳までは引き出すことができない」については、デメリットだと感じている人が多いかもしれません。でも、私は逆に「メリット」だと考えています。
その理由は、「60歳までは引き出せないがゆえに、確実に老後資金を貯めることができる」からです。いつでも解約、引き出しが可能だと、途中で引き出して使ってしまう可能性があります。
2. の「手数料」は、しっかり認識しておきましょう。[図表1]を見てください。
ここでは毎月かかる手数料に注意してください。
国民年金基金に支払う105円と信託銀行に支払う66円、合計171円は必要になります。仮に月額5,000円の掛金を拠出していた場合、年間の合計は6万円、手数料は最低でも年間2,052円かかりますので、最初の1年間でみると3.42%もの手数料率になります。
また、運営管理機関に支払う手数料は金融機関によって違います。
これらの手数料を考慮すると、もし、元本確保型の商品で積み立てしていたら、確実に元本割れになってしまいます。できる限り、限度額いっぱいを拠出することと、投資信託に積み立てていくことを検討しましょう。
3. の「運用がうまくいかなかった場合、お金が増えず、元本を割る可能性がある」については、大丈夫です! 2023年2月20日の記事「『100万円ほったらかし』→『20年で2.65倍』に!? 老後に勝ち組になるための『3つの基本原則』とは」でお伝えした「ドルコスト平均法」を実践していただければ、問題ないでしょう。
最後に、4. の「受け取り」に関しては、少々、留意しておきたいことがあります。
仮に、全世界株式に投資する投資信託で運用した場合、受け取る直前に株式が大きく下落してしまったら、老後のお金の予定が狂ってしまいますよね。
もし、あなたが一時金での受け取りを希望する場合、受け取る時期が近づいてきたら、よりリスクの低い金融商品に乗り換えることを検討してみてください。
また、掛金の拠出はせず、運用だけを続けていく(運用指図者と言います)ことも可能です。
現行の制度では、65歳になったら新たな拠出はできません。しかし、非課税での運用を続けることはできるのです。その後、本当に必要になったときに一時金で受け取る、あるいは年金での受け取りを開始してもいいと思います。
運用指図者の毎月の手数料は、信託銀行に支払う月66円のみ(年額792円)ですので、さほど大きな負担にはならないでしょう。非課税で長く運用を続けることのメリットは大きいです。
ただし、他の退職金のある人が、一時金で受け取る場合には、注意が必要です。
退職金を受け取ったときは「前年以前4年以内」に、iDeCoを一時金で受け取ったときは「前年以前19年以内」に、それぞれ他にも退職金を受け取っていた場合は、退職所得控除が調整されてしまいます。金額や勤続年数によっては、iDeCoのメリットが薄れてしまう可能性があるのです。
60歳以降の働き方や収入によっても変わってきますので、専門家や税理士にも相談するなどして受け取り方をよく検討するようにしましょう。