「50歳男性、余裕資金なし」の人におすすめの資産形成プラン
老後の資産形成には、金融機関や金融商品を選ぶ前に、やるべきことがあります。
それは、「どの資産にどれくらい配分するか」、つまり、「アセットアロケーション(資産配分)」を決めることです。
思い出してください。老後の資産形成は、「アセットアロケーションで成果の大半が決まってしまう」のでしたよね。
そこで、3章では、50歳から老後の資産形成に取り組むための具体的なアセットアロケーションと、資産形成プランをお伝えしていきましょう。
投資初心者の方にとっては、少々専門的で難しいと思える内容にも触れていきます。
でも、ご安心ください。読み進めていけば、自然と知識が身についていきます。
ここでは、資産形成プランの概略をざっとつかんでいただければ結構です。
まずは、「50歳男性、投資経験なし、余裕資金なし」という人が、老後の資産形成を始めるケースです。
50歳で投資に回せる余裕資金がなかったとしても、そろそろ老後の資産形成を本気で考えたいところです。なぜなら、資産形成では時間がなにより重要だからです。
「ゴールまでに費やせる時間が多ければ多いほど有利になる」―それが資産形成の特徴でもあるのです。
この人の資産形成の目的・ゴールは「老後の生活費として65歳時点で2,000万円を貯める」だとします。プロフィールのイメージは以下の通りです。
・職業 会社員
・家族 妻(パート勤務)、子ども1人(高校1年生)
・金融資産 預貯金350万円
・収入 月額手取り35万円
・世帯収入(妻の収入合算) 月額手取り42万円
・生活費 月額28万円(自分の小遣い等を含め、毎月かかる費用)
・住宅ローン 月額8万円返済(持ち家)
・保険料(生命保険、医療保険、学資保険) 月額3万円
この他に、自宅の固定資産税や火災保険、子どもの夏期講習費用等がかかりますので、ボーナスは臨時の費用や家族旅行でほぼ使い切ってしまいます。
預貯金が350万円ありますが、子どもの大学入学費用に備える必要もあり、投資に回す余裕はありません。
この余裕のないギリギリの状態で資産形成に取り組むとしたら、「毎月の積み立て投資」をしていくことになります。
アセットアロケーションは「株式100%」、しかも、地域は「全世界」への株式投資です。文字通り、日本だけでなく先進国や新興国も含め、世界中の株式(全世界株式と言います)に広く投資をしていくのです。
これまでは、「どの資産にどれくらい配分するか」「各人のリスク許容度に応じてアセットアロケーションを考える」ことが大切だ、とお伝えしてきました。
それなのに、「株式一本やり!? 矛盾してるじゃないか!」
そう感じている人もいるかもしれません。