老後の不安とは、突き詰めていけば「お金の問題」に他なりません。長生きは喜ばしい反面、それだけ生活費がかかることも事実です。本連載では、資産形成のプロでありシニア・プライベートバンカーの濵島成士郎氏が、著書である『老後の不安がなくなる50歳からのお金の増やし方』(三笠書房)から、老後の資産形成を行うコツについて解説します。
企業DCがiDeCoより有利な点
企業DCには、iDeCoよりも有利な点があります。それは、「社会保険料がかからない」「手数料負担がない」という2点です。[図表2]をご覧ください。
iDeCoの場合、給与から社会保険料や税金が引かれた後の手取り金額から掛金を拠出、年末調整を行なうことで税金が還付されます。
一方、企業DCの掛金は会社が拠出しますが、給与ではなく、福利厚生費となります。ですから、社会保険料や税金はかからず、加入者はそっくりそのまま自分で選んだ商品に積み立てることができるのです。
社会保険料は、健康保険料と厚生年金保険料と合わせて給料の約30%もの負担率になり、これを労使で折半しています。この社会保険料がかからないというのは、加入者にとっても会社にとっても大きいのです。
また、前述の通り、iDeCoでは最低でも月171円、年間で2,052円の手数料がかかりますが、企業DCではかかりません。
会社が負担しているからです。この点も加入者にとっては大きなメリットです。
運用商品は会社が用意した中でしか選べないので、場合によっては商品ラインナップに不満を持つかもしれません。
しかし、法律上の上限金額は月額5万5,000円であり、iDeCoとの併用が可能になったことから、より多くの掛金を拠出できる可能性があります。
ぜひ、担当部署に制度内容を確認してみてください。
濵島 成士郎
株式会社WealthLead
代表取締役
株式会社WealthLead
代表取締役
シニア・プライベートバンカー
1965年神戸市生まれ、千葉県松戸市出身。小学2年生から國學院高校時代までは剣道、信州大学経済学部入学後は夏のバイク、冬のスキーに没頭。
1988年4月、新日本証券(現みずほ証券)入社。生まれ故郷の神戸支店を皮切りに営業店、本社営業企画部門と人事部門、グループ会社での金融プロフェッショナル教育に従事。横浜西口支店等、4店舗の支店長も務める。
2度の合併(2000年新光証券、2009年みずほ証券)はあれど、30年に渡る証券マン人生の大半を富裕層個人と中小企業の資産運用、M&A、IPOに携わる。
駆け出しの頃に飛び込みで開拓したお客さまが後年上場を果たし、そのカッコいい姿を見て「いずれ俺もああなりたい!」と起業を夢見るようになる。
2011年の東日本大震災を目の当たりにして、「やりたいことに挑戦しないまま死んだら絶対に後悔する!」と若いころからの夢である起業を決意。2017年12月末みずほ証券を退職、2018年3月、53歳の時に株式会社WealthLeadを創業。
全国で約270名(2022年9月現在)しかいない、日本証券アナリスト協会認定シニア・プライベートバンカー。YouTube『よくわかる資産運用チャンネル by WealthLead』の運営もしている。
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