「企業型確定拠出年金」とは、どんな制度?
さて、次は「企業型確定拠出年金(以下、企業DC)」について解説します。
現在、企業DCに加入している人は782万人います。日本全体の会社員は約3,700万人ですので、約20%の会社員は企業DCの加入者ということになります。
しかし、内容をきちんと理解しないまま、会社で言われるままに加入をし、初期設定のまま放置している人が少なくありません。
「そういえば、会社で説明会があって、何か入ったような気がする」
思い当たる人もいるのではないでしょうか?
初期設定は多くの場合、「元本確保型商品」になっていますので、老後のお金を増やす機会を放棄している状態です。
また、転職や退職した場合、転職先の企業DCに入るか、iDeCoへ移換する手続きが必要です。ところが、手続きには結構手間がかかることもあり、忙しくしているうちに忘れてそのままになっている人が多いのです。
6カ月以上、手続きをせずに放置していると、国が現金のまま管理することになります。そうなると、国の管理に変更する費用として4,348円を取られ、毎月52円の手数料が引かれることになります。しかも「現金から」引かれますので、大切な老後の資金が確実に減ってしまうのです。
この手続きを忘れている人は110万人以上と言われています。「案内があったけど手続きしていない」という心当たりはありませんか。私の会社に相談に来られた人の中にも、何人もいらっしゃいました。ぜひ一度確認してみてください。
さて、企業DCは、税制優遇のある資産形成制度(年金制度)としては、基本的にiDeCoと同じです。しかしながら、以下の点はiDeCoとは異なります。
- 掛金は企業が拠出するので、個人の所得ではなく、年末調整も必要ない。
- 給与ではないので、所得税・住民税だけでなく、社会保険料もかからない。
- 手数料は会社が負担するので、加入者自身の費用負担はない。
- 掛金額は法令上の上限は5万5,000円だが、実際の掛金は会社によって違う。
- 商品は会社が用意した中から選定する。