米物価指数CPI(1月)発表
1月の米物価指数(CPI)が発表され、前年比6.4%の上昇を記録したことがわかった。ピークからは改善続くも依然高い水準だ。これにより、米金融当局は政策金利を引き上げる可能性がある。
米家計収入の伸び率予想は低下も雇用市場は堅調
米消費者物価指数(1月)の発表を前に、リスクを積極的に取りにくいなか、経済指標の良し悪しがインフレ動向の見方を左右し、市場参加者が一喜一憂して安定しない展開が続いている。
13日に公表されたニューヨーク連銀の消費者期待調査では、家計収入の伸び率予想は3.3%にとどまり、月間ベースでは過去10年で最大の下落となった。将来の所得増加への期待が低下した一方で、今月に発表された雇用統計などでは雇用市場は堅調ぶりが示されたばかりで、賃金の上昇圧力が緩和に向かうには時間を要するとみられる。
この度発表された1月の米物価指数の上昇により、アメリカ国民を追い込む、「収入は増えない」「物価も高い」「でも、雇用は安定している」という、「次世代貧困」の深刻さが顕著となった。
1年先のインフレ期待も前月から変化がなかったことは、インフレ圧力が続くと受け止めることができよう。一方で、3年先のインフレ期待は2.7%に低下し、これは投資家のリスクテイク心理の改善につながった。
債券市場では昨日、今年の最高水準に近づいていた10年米国債利回りが下落に転じた。しかし、足元の利回り水準は、年内の利下げがなければ正当化されない。年内に金利が下がり始めるとのシナリオは後退しており、米ドル金利に上昇圧力がかかるなかでは、株式市場にとっては上値を追い難い状況が続く可能性が高いと思われる。
香港ハンセン指数は3日続落
ハンセン指数 21,113.76 pt (▲0.24%)
中国本土株指数 7,110.42 pt (▲0.48%)
レッドチップ指数 4,006.34 pt (+0.30%)
売買代金976億7百万HK$(前日1,120億7百万HK$
14日の香港市場は先週から、新規材料難で上値を追えない状況が続き、ハンセン指数は3日続落し、約1ヵ月ぶりの安値水準まで下げた。今夜に消費者物価の発表を控え、香港市場は閑散な商いとなった。
中国の偵察気球を巡る問題で前回の中国訪問予定を中止したブリンケン米国務長官は、17-19日に開かれるミュンヘン安全保障会議に合わせて、中国の外交トップである王毅氏と同問題以降で初めての米中対話を模索すると伝わったが、市場の反応は鈍かった。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比1.01%安とアンダーパフォーム。ソフトウエア開発の明源雲集団(0909)は4.2%安、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は3.9%安、新興EVメーカーのNIO(9866)は3.8%安、電子部品の瑞声科技(2018)は3.2%安と下げが目立った。
主要銘柄も軟調となり、バイオ医薬品開発の薬明生物(2269)は4.0%安、インターネットサービスのテンセント(0700)は2.1%安、Eコマースの京東集団(9618)は1.8%安、アリババ(9988)は1.4%安と下げた。
一方、不動産関連が堅調となり不動産管理会社の華潤万象生活 (1209)は3.4%高、香港不動産デベロッパーの新鴻基地地産発展(0016)は2.4%高、不動産投資会社の九龍倉置業地産投資(1997)は1.8%高、不動産サービスの碧桂園服務(6098)は1.7%高となった。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.28%高の3,293.28と小幅に続伸、CSI300は同0.04%高の4,145.29で引けた。景気回復への期待は根強く、追加政策発動への期待から、本土市場の方が下げ渋っているが、香港市場同様に上値は重い展開だった。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>