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こんなにも厳しい、医学部受験の現状
ここ数年で「医学部人気の低下」を指摘する声もありましたが、今年度の入試では、志願者数が公表された多くの大学で、志願者数は増加傾向にありました。また大手予備校が発表する偏差値ランキングでは、たとえば関東の私立大学医学部よりも地方の国公立大学医学部が下位に位置するケースが増加し、首都圏の私立大学医学部ではより競争が激化しています。
共通テストも2年目を迎え、たとえば初年度で議論を起こした数学でさえも、もう出題傾向を攻略した受験生にとっては、数学は高得点を稼ぐ得点源となりました。その結果、国公立大学の中でも共通テストの配点が高い大学を選べば、私立大学医学部よりも十分に逃げ切りが可能になっています。
ただ、この3年間のコロナ禍にあって、学力と同等、もしくはあえて誤解を恐れずに言えば、それ以上に入試の合否を大きく分ける非常に重要な要素があります。
国立成育医療研究センターが公表したデータによると、2020年6月から2022年3月まで公表された7回の調査の結果では、小学校4年生から高校生の16%が、中等度以上のうつ症状があると回答しています。受験生であればもっと多くの人がうつ症状を伴うメンタル不調を感じている可能性があります。メンタルの不調を抱えながら医学部受験に挑むわけですから、諦めが早く、また、ちょっとしたことで心が折れてしまいがちです。実際に私も現場で教えていて、入試という勝負に挑む前に“気持ち”で負けてしまっている受験生が、このコロナ禍で随分と増えているように感じています。
さらに問題なのが、コロナ禍初期の頃は学校の授業もレポートになったり、教師も不慣れなオンラインになったりなどで、生徒が十分に理解できないまま次の過程に進んでしまったケースです。積み上げていかなければならない学力が穴だらけになってしまい、それを修正できないまま、受験を迎えてしまった受験生が多くいるように感じます。本人も学力が伸びないのはメンタルの不調のせいかもしれないと思って悩んでしまい、「医学部受験を諦めたい」と考えてしまうのです。