あなたにオススメのセミナー
共通テスト2023、平均点が上がった科目もあったが…
センター試験が共通テストへと変わり、3年目となりました。
2023年度大学入学共通テストの平均点を見ると、2022年度の共通テストから、数学IAが17.7点、IIBは18.4点も上がっています。また、物理と生物で20点以上の差が開いたことで、生物との平均点差を調整するために化学と生物で得点調整がなされました(大学入試センター発表)。生物の平均点が下がった理由は、実験考察の問題による高い思考力の要求が一因ではないかと言われていますが、医学部受験生にとっては、実験考察系の問題は頻出ですので、特に大きな影響を受けた人はそこまで多くはないと思われます。
共通テストの実施は今年で3回目を迎えましたが、平均点が前年度から大幅に変化したり、科目間でも平均点に大きな開きがあったりなど、まだまだ各教科・科目で難易度が安定していません。
しかし2023年度入試で、大学入試センターのメッセージははっきりと出ました。特に理系科目では、過去のセンター試験と同じように考えていると痛い目にあってしまいます。
共通テスト後の「私立併願」は滑り止めにならない
Aさんは旧帝大の国立医学部志望で、予備校側から私立受験を提案されても、いつも「国立しか眼中にないので…」と考えてきました。実際、国立志望の受験生は「国立一本で、それ以外は受けたくない」と考えている人も多いものです。
ただAさんは共通テスト後に、私立を併願することを決意しました。自己採点の結果は決して悪くはありませんでしたが、一本に絞るとなると不安が勝る成績だったのです。
しかし共通テスト後には、すでに多くの願書締め切りが終わってしまっています。私立医学部入試は早いところでは共通テストの3日後からスタートし、そこから連日続いていくためです。また、後ろの日程で出願できる大学は、医学部の中でも難易度が高い大学が多くなります。
もともと志望校を国立一本に絞っていたほど高い学力をもっていたとはいえ、12月からは共通テストの勉強にシフトしてきた生徒です。Aさんはそれまで私立医学部の過去問を、きちんと時間を計って解いたことはほとんどありません。そんなAさんが「傾向を分析し、戦略を立てて何十年分もの過去問に取り組んできた」という私立専願組の多い試験に挑戦するわけですが、同様のケースを見ても、本人が思っているほど上手くいくことは少ないのが実情です。
また、そのような生徒は、プライドもあってか私立難関上位を中心に出願するため、なかなかの苦戦を強いられます。場合によっては全滅することも十分にあり得ます。もちろんそれでも受かる生徒もなかにはいますが、私立専願のライバルを甘く見ていると痛い目をみてしまいます。
Aさんも同様で、学科試験は通るものの、結果として補欠にはなりましたが最終合格には至りませんでした。自分ではそれなりにできていたつもりでしたが、その後の得点開示でわかったのは、自分の予想ほど総合点はよくなかったということです。
ボーダー上では1点に数十人が並ぶ場合もあるといわれる私立医学部です。ましてや面接にも配点がある大学も多く、国立第一志望であるAさんは、「そんな短時間で人のことなんかわからないから、普通にやれば大丈夫」という親御さんのアドバイスのもと、とりあえず「親が医者だから」という医師志望理由と、「自分は国立第一志望で頑張ってきた」という気持ちを、Aさんなりに面接官に対して「普通」にしっかりと伝えてきたそうです。
私立医学部の入試問題は、“すべての大学が”とはいいませんが、やはり出題傾向がはっきりとしている大学はかなり多いです。たとえば東邦大医学部は英語の配点が高く、英語重視の学校です。英語の試験は問題量が多く、難しい医療用語、環境や生物に関する単語などにもほぼ注釈なしの長文問題が出題されます。
筆者の運営する予備校では、この大学に進学したい生徒には、この英語の問題のためだけに事前に1ヵ月間の特訓を行います。そうでなくても、第一志望としている受験生は20年分くらいの過去問を解いていることが多いでしょう。
やはり、癖のある問題への対策をしっかりしている受験生に勝てるかというと、これはなかなか難しいことも多いです。