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挫折は「努力の証」であり、行き止まりではない
医学部受験生にとっては医学部に入ることが当面の目標であったわけですから、受験に失敗して進学できなかった場合、「挫折」という心の痛みとなります。そしてその痛みを癒さなければ、トラウマとなって受験生の心に居座り続けてしまう可能性もあります。
だからこそ、親御さんや家族は、しっかりと受験生の心に寄り添い、サポートしていただきたいのです。「あのとき、ああしてあげれば良かった。もっとこうしてあげれば良かった」などといった後悔だけはしたくないですよね。
精一杯努力したのであれば、挫折は無意味ではありません。チャレンジすることが大切なのですから、恥ずかしいことは何もありません。挫折こそ、努力の証でもあるのです。受験生の努力を労い、褒めてあげてください。
また、挫折することによって新たに見えてくるものもあります。たとえば、「入試問題の解答を見て、自分の苦手な分野がはっきりわかった」とか、「社交的だと思っていたのに、面接で緊張してしまう人見知りな自分に気づいた」など、弱点発見のきっかけになるのです。
挫折は成長するために必要な人生経験であり、それを克服する知恵と勇気さえあれば、さらに大きな人間になれます。「ここで終わり」と萎縮せず、未来へ向かうための一歩と考えれば、挫折することも励みとなります。
「努力を怠らなければ夢は叶う」といわれます。しかしそれだけでは足りません。「努力を継続し、諦めないこと」が重要なのです。
医学部の受験生にはさまざまな人がいます。現役高校生はもちろん、10代から20代の浪人生、社会人経験を経た30代や40代以上の人もいます。また、近年では海外からの受験生も増えています。
年齢や国籍に関わりなく挑戦する多くの受験生も、挫折という心の傷を何度も受けながら頑張っているかもしれません。
友達と遊んだり、部活に打ち込んだりと、楽しいことの多い青春時代に、勉強一辺倒の日々を送らなければならないのは、本人にとっては孤独を感じ、辛いことでもあります。しかしこの貴重な時間を犠牲にしてまで挑戦する医学部受験は、価値のある大業です。挑戦すること自体を褒め続けてあげてください。
亀井 孝祥
医学部受験専門予備校メディカ 代表、数学講師
愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。