問題集は1冊で十分…医学部受験「全落ち」から「1年で人気医学部に合格」した人の“戦略”

問題集は1冊で十分…医学部受験「全落ち」から「1年で人気医学部に合格」した人の“戦略”
(※写真はイメージです/PIXTA)

専門予備校に通う浪人生のほとんどが、前年度の入試で全落ちしています。しかし、しっかりと計画を立てて勉強に取り組むことができれば、1年間の浪人生活を経て人気校に合格することも、そこまで難しいことではありません。医学部受験専門予備校メディカ代表・亀井孝祥氏が、1年間で医学部合格を掴むポイントを解説します。

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    私立医学部の二次試験はそれほど難しくない?

    医学部入試では、一次試験・二次試験が課せられます。

     

    ●国立大学 一次試験…共通テスト、二次試験…大学独自の試験

    ●私立大学 一次試験…学科試験、二次試験…面接または小論文

     

    一昨年度、筆者の運営する医学部受験専門予備校では、私立の一次試験を通った生徒で二次試験に落ちた生徒はゼロでした。また今年度は、休まず真面目に授業とテストを受け続けた生徒は皆、医学部に合格しました。では、「全落ち」する人と「医学部に合格」する人は何が違うのでしょうか?

    「全落ち」から「1年間でトップ校合格」は可能

    専門予備校に通う浪人生のほとんどが、前年度の入試で全落ちしています。

     

    しかし、しっかりと計画を立てて勉強に取り組むことができれば、1年間の浪人生活を経て人気校に合格することも、そこまで難しいことではありません。

     

    予備校の説明会で志望校を伺うと、国公立大学医学部や、私立大学では慶応義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学などを挙げる人が多いのですが、実際、前年度10校前後の医学部に全落ちしていても、翌年度にこれらの大学に合格する生徒を見てきました。

     

    もちろん「1年前に落ちた大学よりもさらに上の大学に合格する」ことはなかなか難しいことですが、10人のうち4、5人は成功しているように思います。共通テストでいえば、前年度よりもだいたい150点前後は上げています。特に目立つのが、数学の伸びです。予備校に入り、数学への取り組み方が根本的に変わったことが大きいのではないかと思います。

     

    入試で失敗する生徒の傾向として、例えば数学であれば、ロジックで考えることをせず解法をひたすら暗記し、授業は真面目に受けてはいますが、インプット中心の勉強でアウトプットをあまりしてきていないケースが圧倒的に多いです。また、公式の結果は覚えていますが、それがどのようにして導かれているのかは説明できない生徒が多くいます。

     

    それに加えて、「学習の計画を立てる」ことを苦手とする傾向にあります。それまではその日の気分で行き当たりばったりで問題集を進めていたのであれば、(どの予備校もそうだと思いますが)予備校が管理した計画に沿って着実に進めて行けば、1年間で合格を掴むことはまったく難しくありません。

    英語で絶対的な安全圏に入り、理数科目を伸ばす作戦

    ただ私の経験では、「英語」ができなければ、先ほど申し上げた人気大学も含めて、医学部の合格は勝ち取りにくい気がします。そのため、英語で絶対的な安全圏に入ったうえで理数科目を伸ばす作戦が有効です。

     

    「数学」は、大学によっては時間の割に難易度が高すぎて、よほど数学が得意な受験生でないと高得点は取れない傾向にあります。「数学」がまったく取れないのでは条件的になかなか厳しくなりますが、そこまで高得点でなくても、英語と理科で逃げ切ることができれば、1年間で合格を掴むことは全然難しくありませんし、私の予備校でもこのようなタイプは比較的多くいます。

     

    夏までにしっかりと基礎を固めて復習を重ね、復習テストで弱点を徹底的に潰して瞬発力をつけ、そして夏以降は過去問で解けるものと解けないものを見極める目を養いましょう。そうすれば、さほど数学が得意でなくても逃げ切ることは十分に可能です。

     

    ただし、あえて誤解を恐れずにいえば、特に数学は「赤本の解答がすべてベスト」というわけではないので、注意してください。自分で別解を考えたり、掲載されている懇切丁寧な長い解答を、もっと自分で要点整理したりして、自分の解答を作る練習をしておくことをオススメします。できればその解答を先生などにみてもらえると、なお良いと思います。

    「合格を掴む受験勉強」の4つのポイント

    ここからは、受験勉強や生活における注意点をみていきましょう。

     

    【①勉強法を間違っていないか】

    学力が伸び悩んでいる、頭打ちしていると感じる場合は、これまでの勉強法がどんなものだったか思い出してみましょう。苦手な問題をあえて避けてはいませんでしたか? 試験で点数が取れなかった問題を洗い出してみると、自分の苦手分野が見えてきます。それらの分野の問題を繰り返し解いていけば、おのずと実力が付き、得点が上がってきます。

     

    【②根本的な弱点を把握しているか】

    自分には何が欠けているかを明確にしましょう。自分自身の弱点を根本的に克服することこそが合格への近道です。勉強内容だけでなく、学習計画の立て方や学校や家での過ごし方など、時間の使い方も含めて考えてみましょう。ネットに夢中になったり、だらだらと食事をしたり、睡眠・起床の時間が毎日違うなど生活リズムが乱れていませんか?

     

    【③時間と量を費やすだけで安心していないか】

    1日にこなす学習量を自分のキャパ以上にテンコ盛りにして、自己満足していませんか? やみくもな学習計画は命取りです。「広範囲に、たくさん」という考え方では効率よく知識を習得できません。自分のこなせる学習量に合わせて、苦手な科目・分野を重点的に行うスケジュールを組みましょう。勉強は量より質です。

     

    【④「問題集コレクター」になっていないか】

    何冊もの問題集を次々と解いていくのは素晴らしい作業ですが、間違えた箇所を間違えたまま放置することは、もっとも悪しき習慣です。

     

    一つひとつの問題について深いところまで理解し、頭に叩き込むためには、問題集は1冊で十分です。1冊の問題集を何度も繰り返し解いていくことで、広範囲の知識が身につきますし、自分の苦手分野に気づきやすいものです。不正解の問題にマーキングしたり書き込んだりしていくと、不思議なことに自分の不得意とする傾向がくっきり見え、かつ“もう手放せない1冊”ができあがります。

     

    【⑤「短期決戦」への心の準備ができているか】

    次から次へ試験を受けていく中で、うまくいかないことの方が多いかもしれません。しかし入試の短期決戦において一番大切なことは、うまくいかないときでもサッと気持ちを切り換え、今日一日やると決めた課題を全力でこなしていくことです。成功するか否かは、受験当日までいかに最後まで精一杯やれたかで決まります。
     

     

    「自分の努力が足りなかった」と嘆く必要はありません。サボっていたから点数が取れなかったわけでもありません。漠然とした反省は必要ありません。上記5つの考察から、具体的な改善策を見つけてください。そして「絶対にあきらめない!」という強い信念を持ち、限られたチャンスを無限の可能性に変えるため、最後の最後まで全力で走り抜けてください。

     

    健闘を祈っています。

     

     

    亀井 孝祥

    医学部受験専門予備校メディカ 代表、数学講師

     

    愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。

     

    本記事は、医学部受験サクセスガイド『集中メディカ』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。

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