「大学、ダメだった。」浪人も珍しくないが…医学部受験「1年後に受かる人、結局落ちる人」の決定的差【医学部受験のプロが解説】

「大学、ダメだった。」浪人も珍しくないが…医学部受験「1年後に受かる人、結局落ちる人」の決定的差【医学部受験のプロが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

医学部受験は狭き門。今年1月から始まった入試も結果が出揃い、合格を喜ぶ人がいる一方で、思うような結果が出ず、パニックに陥った人も少なくないでしょう。しかし、医学部受験は浪人も珍しくない世界です。来年こそ合格をつかみ取るためには、どうすればよいのでしょうか? 医学部受験専門予備校メディカ代表・亀井孝祥氏がアドバイスします。

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    人気低迷の声もあるが…医学部受験は今後も「狭き門」

    国公立大学医学部の2023年度入試の前期日程全体の志願数は、予備校大手の河合塾の発表では3月7日時点で、15,960人(2022年度15,087人)。2022年度から873人増加し、前年比106%でした。募集定員の計3,578人(2022年度3,607人)から計算すれば、前期の倍率は4.46倍となり、2022年度の4.18倍から上がりました。

     

    また後期日程全体では、志願数は7,549人(2022年度7,255人)。こちらも2022年度から540人増加し、前年比104%でした。後期の募集定員が計351人(2022年度363人)ということを考えると、後期全体の倍率は21.50倍となり、後期も2022年度の19.98倍から上がりました。

     

    私立大学医学部の志願者数は、現時点で非公表の大学も複数あるため、正確な計算はこの後になります。しかし、ここ数年でどの大学よりも早い日程から大幅に変更し、聖マリアンナ医科大学の日程とぶつけてしまった愛知医科大学(597人減)を除けば、ほとんどの大学で志願者は前年と比較し増加傾向にあります。

     

    さらに顕著なのが、共通テスト利用方式での私立医学部志願者が増えたことです。3月31日現在で判明しているデータでは、志願数は9,332人(2022年度7,379人)で、こちらも2022年度から1,593人増加し、前年と比較して126%となりました。私の予備校にも一般入試枠で落ちても共通テスト枠で復活合格した生徒がいますが、私立医学部の受け方としてこの傾向は今後も続くように思います。

     

    また、今年初めて卒業生を輩出した国際医療福祉大学医学部は、医師国家試験の合格率が高かったことや、学費がどの私立よりも安く、さらに学費免除枠もあることから、今後はかなり人気が上がって難化しそうです。ただし入試日程が共通テストとかなり近いので、受験する方は十分な準備が必要です。

     

    昨今では医学部人気の低迷を指摘する声もありますが、医学部受験が狭き門であることには変わりありません。今後は医学部の定員を減らす方針が打ち出されており、医学部受験は今後さらに激化する可能性があります。特に次の入試は、現行過程最後の入試ということもあり、受験生はきっちりと合格を決めないと新課程入試に巻き込まれてしまいます。「移行措置があるから大丈夫」という声もありますが、過去に行われた移行措置の問題を見る限り、浪人生が有利になることはほぼない(むしろ不利)と思っておいた方が無難です。

    まず押さえるべき、医学部受験「不合格」の原因

    毎日寝ずに勉強した、問題集を何冊も解いた、学校の先生や親のアドバイスもちゃんと聞いた…なのに、なぜ志望校に受からなかったのだろう。なにを間違えていたのだろう。

     

    思ったような結果が出ず、パニックになっている受験生の皆さん、どうか落ち着いてください。真剣に取り組んだものの、努力の方向がズレてしまい、惜しくも落ちてしまった先輩はたくさんいます。そんな過去の反省談から、医学部に失敗してしまった人の不合格の「根拠」について検証していきます。

     

    ■生活面:「不規則な生活」は失敗への第一歩

    これは浪人生に多くみられますが、得点開示をしてギリギリで落ちてしまった受験生は特に要注意です。もう少しで合格できたということは、裏を返せば弱点が他の受験生よりも少なかったということで、受験生本人も「何が足りなかったかよく分かっている」と言います。ただ現実は、たまたま本番で良い条件が揃って、そのときはそれなりの高得点が取れただけで、弱点は自分が思っているよりも多くあるものです。

     

    また予備校に入っても、「予備校に行かないで、宅浪で医学部に合格しました」といった合格体験談に感化され、我が道を行くとばかりに自習室に籠って受験をスタートしたことで失敗に至る人も結構多いです。最初の1、2ヵ月は順調ですが、気が付くと得意科目や好きな科目の勉強に熱中するあまり、夏頃には朝と夜がひっくり返ってしまう不規則な生活習慣がつき、実力がそれほど伸びなかったという事態に陥りかねません。

     

    先述の体験談のように“この方法”で成功した人もいますが、でも「あなた」は違います。結果的に合格したから「この方法で成功した」と振り返れるのであって、その方法をまねして「あなた」が成功できるかどうかは、まったく別の問題です。規則正しい生活リズムのなかで、これまで解けていた問題でも「いまも変わらず同じスピードで、いやむしろもっと早く解ける」ことを確認するのも大切な作業です。自習室に籠って夜遅くまで勉強することは、一見頑張っているような印象は受けますが、実際はただ要領が悪いだけの人だったりします。不規則な生活は失敗への第一歩になりかねないので、注意してください。

     

    ■勉強面:「学習計画」の立案・見直しは必須

    長いようで短い受験期間ですが、学習計画の立案ができず成功へのロードマップが描けなかったために失敗するケースも結構あります。医学部受験は英語、数学、理科2科目の4科目偏りなく偏差値65から70前後にもっていくことが必要です。3科目は何とかなっても、4科目を安定してきっちり上げていくことが難しいため、しっかりとした毎週の学習計画が必要です。

     

    また、共通テストではさらに国語と社会が要求されます。どのタイミングでどの科目をどれくらいの時間を割いて進めるのか、医学部受験を熟知した先生と毎週学習計画を立て、そのうえで授業を受け、さらに毎週、小テストではない全範囲のしっかりとした復習テストを受けてインプットとアウトプットを繰り返し、できなかった箇所の改善を図るために再び学習面談を受けて計画を立てなすことをひたすら繰り返していきます。

     

    私の予備校でも、特に成績上位の人ほど「先生、ちょっと来週の進め方で時間をとってもらえませんか?」と、私を捕まえにきます。勉強するのは本人ですが、コーチとして寄り添いながらアドバイスをしていくことで、ワンランクもツーランクも上を狙えるようになります。これはプロスポーツなら勝つために当たり前に行われていることですが、受験となると「過保護ではないか」とか「そんなんじゃ、医者になってから大変」などという声が上がります。しかしそれは昭和の時代のお父さんの時代の考えであって、いまの子たちとは考え方も環境もツールもまったく違いますし、誤解を恐れずにいえば、受験も「受かった者勝ち」の側面がありますから、きちんとサポートをしてあげましょう。志望校に合格できれば、その瞬間から周囲の評価は「頑張ったねー。おめでとう!」と一変します。とにかく合格することが大切なのです。

     

    ■志望校選び:「模試の成績」に振り回されない

    私立大学と国公立大学では学費の差が大きいため、第一志望として国公立大学を目指すこと自体はまったく問題ありません。ただ、実際の受験となると一発勝負ですので、共通テストの成績によっては志望校を大きく変更する場合もあります。入試後、共通テスト模試では大丈夫だったのに…と悔やんでも、もう手遅れです。その際に私立を急遽併願することも十分に考えられますし、私立医学部でも、特待枠で学費が大幅に軽減される大学もいくつかあります。そのような大学を併願して、今度はしっかりと実力を発揮すればよいだけです。大切なのは模試の成績に振り回されず、また一喜一憂せず淡々と学習を進め、早くから併願校まで視野に入れた学習を進めることです。

    「不安」はしっかり受験に取り組んで頑張っている証拠

    模試の結果が悪かったり、不合格になる夢をみて目が覚めたりすることは、受験生にとってかなりストレスになりますが、残念ながら勉強のストレスは勉強でしか解消できませんので、頑張るしかありません。

     

    そんな風に言われてしまうと元も子もないように聞こえるかもしれませんが、大学受験の合否は、結局のところ「積み重ね」です。

     

    「もっと勉強していれば…」「親や先生の言うことを聞いていれば…」と悔やむ気持ちや、第一志望に合格した友達を妬む心など、感情の整理は今の時期難しいものです。しかし医学部の受験は、大学・学部ごとに出題傾向がまったく異なります。今抱えている抽象的な悩みはさっそく細分化し、具体的な問題点を見つけて解決策を探るべきです。

     

    また、受験期間は計画通りに学習を進めていても、ちょっとしたことで自信が持てなくなり、不安に感じることがあります。そんなときは「不安は、受験にしっかりと取り組んで頑張っている証拠」と思ってください。しっかりと取り組んできたからこそ、不安を感じるんだということを思い出してください。

     

    「医学部合格」はゴールではなく、次段階へのスタートです。親御さんや先生方はいつでも応援しています。来年の今、輝きに満ち溢れている自分を想像しながら、頑張ってください。健闘を祈っています。

     

     

    亀井 孝祥

    医学部受験専門予備校メディカ 代表、数学講師

     

    愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。

     

    本記事は、医学部受験サクセスガイド『集中メディカ』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。

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