世界一の人口大国となるインド経済の見通し…当面は底堅い成長が続くが、製造業振興策の成否が持続的成長の鍵を握る

世界一の人口大国となるインド経済の見通し…当面は底堅い成長が続くが、製造業振興策の成否が持続的成長の鍵を握る
(写真はイメージです/PIXTA)

本年度にも中国を抜き、世界一の人口大国になるといわれているインド。経済的な存在感はいっそう増すことになるのか……ニッセイ基礎研究所の斉藤誠氏による分析です。

3―持続的成長への課題

インドは2023年に中国を抜いて世界一の人口大国となる。働き手は今後10年間で毎年1,000万人のペースで増えると見込まれるが、現在労働人口の約9割が非正規で、低生産性・低賃金の状況にある。いくら働き手が増えても質の高い職が足りなければ、効果的な経済成長を実現することは難しい。

 

産業別GDPシェア(2021年度)をみると、製造業は14.5%で停滞、農林水産業の18.1%を下回る。工業化の遅れが際立つが、視点を変えれば製造業の成長余地が大きいとも言え、今後のインド経済の持続的な高成長には政府の製造業振興策の成否がカギを握ると考えられる。

 

モディ首相は政権発足以来、「メーク・イン・インディア」をキャッチフレーズに様々な経済改革を進めてビジネス環境を整備すると共に、巨大な国内市場を盾に関税を引き上げたり、補助金を交付したりすることにより企業に国内でのモノづくりを促してきた。また最近では、米中対立を背景に中国以外に生産拠点を設けようとする企業の動きが拡大、インドに半導体生産の工場を誘致する動きもあり、明るい兆しはみえてきている。

 

しかし、インドは民主主義国家であるため、政府が民意を顧みずに強引に政策を押し進め続けることは難しく、工業化の速度は一党独裁で意思決定の早い中国と比べて緩慢になるだろう。近い将来、インドは米中に続く世界3位の経済大国になるが、持続的な経済成長に向けては土地収用の円滑化や労働者に有利な労働法の改正、自由化率の高いFTAの実現など政府が取り組むべき課題は多い。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年2月7日に公開したレポートを転載したものです。

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