大人気のインデックス型の米国株式投信
2019年の「老後2,000万円問題」をきっかけに資産運用に関心を持つ人が増え、実際に つみたてNISAなどを活用して積立投資を始める人が増えている。それに伴って2020年あたりからインデックス型の外国株式投信の資金流入が増加してきた【図表1】。2022年こそ資金流入の増加はやや一服したが、それでも安定して概ね毎月2,000億円以上の資金流入があった。
インデックス型の外国株式投信の中で特に人気で売れているのが、S&P500種株価指数などに連動する米国株式投信(青棒)である。毎月のインデックス型の外国株式投信の資金流入の半分以上が米国株式投信となっている。
その一方でインデックス型の日本株式投信(灰棒)の資金動向は相変わらず資金流出している月もあるなど、不安定である。2021年以降、資金流出している月は減っているようにみえるが、これは日本株式自体がほぼボックス圏で推移する中、利益確定に伴う売却がでにくかっただけだと思われる。インデックス型の日本株式投信は、純資産残高が2020年あたりから緩やかに増加基調であるため、積立投資などによる買付が若干増えている可能性もある。それでも多くの人が日本株式ではなく外国株式、特に米国株式に投資している状況であるといえる。
過去10年だと米国株式一択でほぼ正解
このように米国株式が大人気になっているのは、米国株式が2022年こそ大きく下落したがそれまで好調だったことが大きいと思われる。米国株式(青線)と日本株式(灰線)、さらには全世界の平均値として全世界株式(橙線)の主要株価指数の過去30年間の推移をみると、米国株式は、長らく低迷していた日本株式はおろか全世界株式も上回って上昇してきたことが一目瞭然である【図表2】。
詳しくみると、2012年以降の米国株式の上昇が突出しており、その期間で全世界株式と差が付いたことが分かる。つまり過去10年くらいは米国株式にさえ投資していれば、かなり良いリターンが得られる状況であったといえる。その印象が強いため、今後の米国株式にも期待する人が多いのではないかと考えられる。逆に過去30年の推移をみて日本株式に期待しろという方が難しく、そのため日本株式が敬遠されていると思われる。
では、なぜ米国株式が長きにわたって好調だったのだろうか。主な要因として、米国企業の業績が急成長したことがあげられる。各指数の12カ月先予想EPSをみると、米国株式(青線)の予想EPSは2012年あたりから全世界株式を上回って上昇、つまり米国企業の業績が急成長し、収益が大幅に拡大していたことが確認できる【図表3】。この業績拡大が米国株式の株価を押し上げたと考えられる。
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