既婚女性、2人目以降の子供が欲しくないは79.7%、持ち家が欲しいは63.9%
2023年1月、中国統計局は中国の人口が61年ぶりに減少したと発表し、大きな衝撃が走った。かつては「一人っ子政策」に批判が集まり、反抗して罰金を支払っても2人目の子どもがほしいという状況があったが、2021年に「3人目」の子どもが容認されても、子どもを産みたくないと考える女性が増えている。そんな女性の結婚・出産に対する意識の変化は、不動産の取得意向にも表れている。
中国社会科学院社会学研究所が発表した「社会藍書」*1によると、2021年の18歳~49歳の出産適齢期女性の出生子ども数の平均値は1.37人となった。2020年における日本の合計特殊出生率である1.33*2と同等の水準にある。すでに子どもがいる女性の2人目以降の出産に対する意欲は低く、「2人目以降の子どもが欲しくない」を明確にしている既婚女性の割合は79.7%で、既婚男性は71.0%である。
一方、中国最大手の不動産仲介ポータルサイトを運営する「貝殻」ホールディングスのシンクタンク「貝殻研究院」が、2020年に実施した「女性居住現状調査報告2021」では、「結婚前に自分の家を持つべき」と考える人は、未婚女性で72.4%、恋人のいる女性で69.3%、既婚女性では63.9%である*3。
*1:中国社会科学院社会学研究所(2021)「社会藍皮書:2022年中国社会形勢分析と予測」、社会科学文献出版社。
*2:内閣府(2022)「令和4年版 少子化社会対策白書」によると、合計特殊出生率とは、「15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」で、1人の女性がその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子ども数に相当する。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2022/r04webhonpen/html/b1_s1-1-2.html
*3:貝殻研究院(2021)「女性居住現状調査報告2021」30都市からの有効回答数は2,505件。https://research.ke.com/121/ArticleDetail?id=352
2021年の住宅取得者の半数が女性
北京大学が2年毎に継続的に実施している「中国家庭追跡調査」*4によると、2010年に中国都市部で持ち家を所有している女性の割合は5%未満だったが、2016年には14.7%に大きく増えている。
貝殻研究院は、2021年に38都市の住宅取引データを集計した結果*5、賃貸契約者および売買契約者の双方において、女性の割合が年々増加しており、2021年の売買契約者の約半数が女性である。
住宅の購入資金について、「自己資金」のみで購入している女性の割合は2021年で21.10%である。2020年の16.42%に比べて急激に増えており、約5ポイント高い。また、「親の援助」で購入している女性の割合は36.29%で、2020年の31.90%に比べて約4ポイント高い。それに対し、2021年では「夫婦で共同購入」する女性の割合が35.72%となり、2020年の37.49%に比べて約2ポイント低い結果となった。
*4:北京大学社会科学調査センターが2010年より実施している。https://www.isss.pku.edu.cn/cfps/
*5:貝殻研究院(2022)「女性居住消費調査報告2022」https://research.ke.com/121/ArticleDetail?id=487
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>