長寿化する日本「独居高齢者」増加が止まらない
内閣府『令和4年版 少子化社会対策白書』によれば、生涯未婚率(50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人の割合)は、2020年、男性は28.3%、女性は17.8%だった。なかには50歳を過ぎてから結婚する人もいるが、極めて例外的だ。したがって、この数値が「生涯独身」の割合と考えて差し支えない。
また、近年では個々考えが尊重されるようになり、昭和時代のような結婚の圧力もないため、仕事や趣味に重きを置き、あえて結婚を選ばない人もいるだろう。
このような時代的背景から「独身高齢者」が増え続けている。
『令和2年国勢調査』によると、全国5,570万4,949世帯のうち「65歳以上世帯員がいる世帯」は2,265万5,031世帯だった。さらに「65歳以上世帯員のみの世帯」は1,307万3,898世帯、「単身の65歳以上世帯」は671万6,806世帯。5年前の調査から113%増という結果になった。
【高齢者単独世帯数の推移】
1980年:881,494世帯
1985年:1,180,723世帯(133.9%)
1990年:1,623,433世帯(137.5%)
1995年:2,202,160世帯(135.6%)
2000年:3,032,140世帯(137.7%)
2005年:3,864,778世帯(127.5%)
2010年:4,790,768世帯(124.0%)
2015年:5,927,686世帯(123.7%)
2020年:6,716,806世帯(113.3%)
出所:総務省統計局『国勢調査』より
※(かっこ)内は前回調査からの増加率
また年齢別にみていくと、「65~69歳」が133万1,095世帯、「70~74歳」157万8,003世帯、「75~79歳」131万4,415世帯、「80~84歳」115万8,972世帯、「85歳以上」が133万4,321世帯となっている。5年前と比べ「85歳以上世帯」が139.9%増となり、明らかな〈長寿化〉の結果が見て取れる。
独居の高齢者、4人に1人は「経済的余裕なし」
全国に700万人弱の独居高齢者がいるという事実。もちろん、すべての方が生涯独身なわけではなく、死別・離別を経て独居生活を送っている方盛るため、単純にひとくくりにはできないだろう。だが、生涯独身だった場合はむしろ、経済的なゆとりがかなりあるのではないか?
まず、高齢者の生活を支えるのは公的年金だが、厚生労働省の調査によると、厚生年金受給者の平均受給額は14万円程度。年金のみでの生活には、単身者でも心もとない金額であり、不足分をカバーする貯蓄が必要だといえる。
だが、『家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和3年』(金融広報中央委員会)によれば、「金融資産を保有していない」という人は、60代で28.8%、70代で25.1%もいる。ここでの「金融資産」とは、運用や将来に備えて蓄えている部分を指す。単純に見るなら、経済的に余裕のない単身の高齢者は、4人に1人以上にもなる。
さらに「金融資産あり」と回答した単身高齢者だが、その保有額は、60代平均で2,645万円、中央値は1,180万円、70代で平均2,396万円、中央値で1,380万円となっている。これならある程度、余裕のある生活が送れそうだ。だが、「金融資産あり」と回答していても、保有額300万円未満という人たちが、60代は21.1%、70代は15.1%となっているが、この金額では心もとない。
金銭的な不安ばかりではない。さらにそこには、誰しも避けられない「老い」の問題がある。年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合※を見ると、70代後半は12.7%が要支援・要介護認定を受けているが、80代前半では26.4%、85歳以上では59.8%と増加していく。
※ 厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」、総務省「人口推計月報」より
逆算すると、後期高齢者となった独居高齢者379万人のうち、約130万人が要支援・要介護認定を受けているということになる。
ひとり暮らしの方が支援・介護を必要とする場合、事業者を頼ることになるだろう。だが、事業者を頼れば当然費用が発生する。上述の通り、経済的に厳しい独居の高齢者の割合は4人に1人以上。そのような方には、必要なサポートが受けられず、社会からも孤立する「孤独死リスク」が懸念される。日本にあふれるこの実情を、官民力を合わせ、どうにかしなければならない。
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