(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円相場は、日銀人事の思惑で乱高下。次期総裁に植田元日銀審議委員が起用されるとの報道が広がると、米ドル/円は一時130円割れの円高となりました。しかし、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は「米ドル高・円安方向へのブレークが明確になってきた」といいます。それはなぜか、みていきましょう。

米CPI、PPI、小売売上高など指標発表目白押し

今週は、火曜日にCPI(消費者物価指数)、木曜日にPPI(生産者物価指数)といった具合に米国のインフレ指標発表が予定されています。

 

また水曜日には小売売上高の発表といった具合に、1週間を通じて米国の経済指標発表が相次ぐ見通しとなっていますが、それらが3日の米雇用統計発表以降の米金利上昇傾向にどのような影響をもたらすかは、米ドル高の行方を考える上でも注目されることになりそうです。

 

米インフレ動向への関心が高いなかで、CPI、PPIといった米インフレ指標は、発表後に為替相場が一方向に大きく動くといった状況が続いてきました。

 

そんな米インフレ指標は、CPI、PPIとも前回より上昇率が低下する、つまり一段とインフレが是正されるとの予想が今のところ一般的で、予想通りなら雇用統計発表以降の「米金利上昇=米ドル高」の流れが一段落するきっかけになる可能性があるでしょう。

 

ただ、3日発表の米1月雇用統計が総じて予想よりかなり強い結果となったことなどをきっかけに、景気減速とインフレ是正でFRB(米連邦準備制度理事会)は自らが考えている以上に利上げ終了、利下げへの転換が早まるといった金融市場の見方は大きく揺らぎ出したようにも見えます。

 

むしろそのような早期利下げ期待などを手掛かりとした米金利低下、米国株高といった「金融環境の緩和」が、改めてインフレ是正の障害となり、FRBが目標としている2%へのインフレ率低下を遅れさせるといった懸念も浮上してきました。

 

このため、CPI、PPIといったインフレ指標の上昇率が前回より低下しても、事前予想ほど低下しなかった場合、インフレ是正の鈍化として、FRBの利上げ長期化への懸念から「米金利上昇=米ドル高」といった反応になる可能性もあるのではないでしょうか。

 

ちなみに、14日のCPI発表は、対前年比上昇率が前回の6.5%から6.2%へ、16日発表のPPIは、前回の6.2%から一気に5.4%へ大きく低下するとの予想になっています。

 

インフレ是正が順調に進んでいることを確認するといった予想になっているようですが、そういったシナリオを変化させる必要のある結果となった場合の米金利、米ドル相場への影響も注目したいと思います。

 

以上を踏まえると、今週の米ドル/円の予想レンジは129~134円中心で想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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