(※写真はイメージです/PIXTA)

所有するビルの一室を「不動産業の事務所」として貸すことになった大家。借主へ引き渡した後、なんと借主は「レンタルオフィスの事務所」として使おうとしていることが判明しました。当然、大家は工事の中止を要望するも、借主から頼みこまれてやむなく「2年間だけ」使わせることに。これがトラブルの引き金となってしまいました……賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、過去の判例をもとに解説します。

当初の使用目的と違う…契約解除は可能か

ビルオーナーからの相談

私は商業用ビルを所有しています。

 

ビルの一室について、新たに貸すことになりましたが、その際の使用目的としては、「不動産業の事務所」として賃貸することになりました。

 

しかし、賃借人への引渡し後、賃借物件の内装工事の様子を見たところ、不動産業の事務所ではなく、貸机業(いわゆるレンタルオフィス)の事務所として使用しようとしていることが判明しました。

 

こちらからは、「契約と違うので止めてくれ」と賃借人に要望しましたが、賃借人から「2年間だけで良いので、やらせてくれ」と懇願されましたので、「契約期間が経過したら相談の上廃止する」旨の念書を取り交わして、やむなくレンタルオフィスとして使わせることを認めました。

 

その後、契約更新が何度かあり6年が経ちましたが、更新の度に同様の念書は取り交わしていました。

 

この度、契約期間が満了したので、レンタルオフィスとしての使用は止めるよう賃借人に申し入れたところ、賃借人側はこれを無視してなおレンタルオフィスとして使用を続けたため、こちらからは用法違反として解除通知を出しました。

 

すると賃借人側は「レンタルオフィスは会員制を採用して貸主に迷惑がかからないように十分配慮している」などと主張し、用法違反の程度は大きくない等と主張して解除を争っています。

 

こちらからの主張は認められるのでしょうか。

 

弁護士の解説…「契約違反」として解除できるかが法律上問題

住居以外のビル・店舗などの建物の賃貸借契約においては、その「使用目的」が定められることが通常です。

 

使用目的の定め方は「住居」、「事務所」等の抽象的な記載の場合もあれば、「飲食業」、「学習塾」等と具体的に特定して定める場合もあります。

 

賃貸人側としては、契約で使用目的を定めることにより、当該賃借物件(もしくはビル全体)の品位や質、環境の維持・保全を図るという意味があります。

 

そのため、万が一、賃借人が、契約で定められた目的と違う目的で当該賃借物件を使用していた場合には、契約違反となりますので、その使用方法を是正するよう求めることができます。

 

しかし、賃借人側が、是正要望に応じなかった場合に、「契約違反」として解除ができるか、ということが法律上問題となります。

 

この点、賃貸借契約については、「当事者間の信頼関係に基づく継続的契約である」ということから、契約違反があるからとして直ちに解除が認められるわけでなく「契約違反が信頼関係を破壊する程度」に至っている必要があります。

 

契約目的に違反した使用(いわゆる「用法遵守義務違反」)の場合も同様に、その用法違反が「信頼関係を破壊する程度に至っている場合」でなければ、賃貸人側からの解除は認められないということになります。

 

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※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

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