一気にカロリーを取り込んで脳を騙す?
■チートデイの迷い
減量期、体重が5%以上減ると、体は恒常性を維持しようとして代謝能力を落とし、消費エネルギーを抑える。減量を始めて1〜2ヵ月頃に停滞期になるのは、体重がちょうど5%前後減るタイミングだからと言われている。
このとき、1日だけ一気にカロリーを取り込むことで脳を「チート」(だます)するのが「チートデイ」だ。減量中の少ないカロリーに適合してしまい「これ以上は体重を落とすな」と指令を出す脳に対し「こんなにカロリーが入ってくるならまだまだ体重を落として大丈夫だな」と思わせるわけだ。理屈として正しそうだ。
このとき、ネットの記事などでは体脂肪率によってチートデイの間隔なども指定しているものも見かける。体脂肪率25%以上(必要なし)、20〜25%未満(2週間に1度)、15〜20%未満(10日に1度)、10〜15%未満(1週間に1度)、10%未満(4日に1度)。ただしこの数字の根拠については明らかにしていない。
コンテストビルダーでも、チートデイを行わなくても順調に体重が落ち、体が絞れる人もいる。特に意識せずとも外食の日だけをチートデイとして、翌日から減量食に戻すと停滞期を破れるという人もいる。体の理論はこれが正しい方法と断言できないから面白いが、そのぶん悩む。
■まだ迷う
トレーナー鈴木さんがとても優秀だと思うのは忍耐強いことだ。セットとセットの休憩のとき。
「体重がね、落ちないんだよねぇ〜。この2週間ず〜っと。どうなんでしょうねぇ。やっぱりチートデイやった方がいいかなぁ。でもねえ反動も怖いし。グズグズ……グズグズ」
「そうですねぇ。そんなに長い期間変化がないのは、やっぱり代謝が落ちているのかもしれませんねぇ。食事以外でもオーバートレーニングとか」
「でもねぇ……。せっかくここまで少し絞れてきたのに、元に戻る気がしてチートデイ、ちょっと怖いんだよなぁ。絞ることとウエイトを上げることだとどっちをとるべきなんでしょうねぇ。グズグズ……グズグス」
「大会がある場合はやっぱり絞ることが優先ですけど、ウエイトも頑張って、極力落としたくないですね」
要は「グズグズ泣き言を言ってないで、チートデイ入れて、減量しつつ気合い入れて持ち上げろ!」と怒鳴りたい気持ちを抑え、年寄りの愚痴にニコニコと付き合ってくれる。もうひとつ、トレーナー鈴木さんが優秀だと思うのは上手な嘘をつくことだ。大会に出場予定の若い子がいる。
「あの子、だいぶ絞れているけど、あと4㎏くらいは減量必要なの?」
「ええ。でも最初から4㎏と言うと無理って思っちゃいますから、いちおう2㎏くらいって。……で、2㎏絞れたらもう2㎏(笑)」
う〜む、なかなか策士ではないか。そういえば私もしっかり覚えている。私の腹、最初は「あと4㎏」と言われたけど、1ヵ月たって2㎏減量してからも「あと4㎏」と言われた気がするなぁ……。
城 アラキ
漫画原作家
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