中国の2022年GDP成長率は+3.0%
22年の中国のGDP成長率は+3.0%と、Bloomberg市場予想の+2.7%を上回ったものの、政府目標の+5.5%程度を大幅に下回った。
新型コロナの感染に翻弄され、3月後半からは上海等を中心に都市封鎖となり、その後も断続的に各地で都市封鎖が続いた。
11月末にゼロコロナ政策に反対する市民活動が活発化すると、政府はワクチン接種等の準備も無しにゼロコロナ政策を撤回。結果、都市を中心に感染が急拡大し、1月21日に中国疾病予防コントロールセンターは人口の約80%がすでに新型コロナに感染したとの見方を発表した。
新型コロナの影響を受けやすい消費は、小売売上高が通年で前年比0.2%減、特に外食は同6.3%減と大幅に落ち込んだ。また、欧米では急速な利上げの影響で景気が減速し、中国からの輸出は1~3月の前年同期比15.5%増から10~12月には同6.5%減へ落ち込んだ。
このようななか景気を支えたのは、政府によるインフラ投資で、通年で11.4%増と二桁増となり、設備投資も減税等の効果もあり堅調に推移した。
なお、中国では穀物や燃料等の価格は国民生活への影響が大きく政府が規制するため、消費者物価指数は前年比+2.0%と低い伸びに留まった。
23年の成長率は+4.9%を見込む
23年の世界の景気は減速が予想され、IMFは23年の世界の成長率を+2.7%(22年+3.2%)と予想。このため、中国からの輸出は通年で前年比1.6%増(22年同7.1%増)に留まると見込まれる。
一方、中国内では春節休暇に人の大移動が起こり、2月には地方でも感染が拡大し集団免疫が全国的に達成されるとみられる。そうなれば3月頃からウィズコロナが一段と進もう。コロナ禍では消費者が消費を控え貯蓄を積み上げたが、ウィズコロナに伴いリベンジ消費が花開こう。
日本の国内航空旅客数は、ウィズコロナが定着する前の22年前半にはコロナ前19年の6割程度だったが、後半には8割を超えてきた。中国の国内旅行も今年末までにコロナ前の8割程度まで回復し(22年12月は19年同月比40%)、他の消費も持ち直すと考える。
また、政府は景気への影響が大きいとみられる不動産業に対する支援に注力し、住宅ローン金利の引き下げや不動産会社への融資拡大等を実施している。新築住宅販売床面積は年央あたりに前年同月比で増加へ転じよう(22年12月同31.5%減)。
住宅販売が回復してくれば、家電や自動車の購入を刺激するとみられる。加えて、政府は昨年末の中央経済工作会議で23年は景気安定を最重視し、インフラ投資等の財政支援策も維持する方針を示した。政府は今年の成長目標を+5%以上に設定するとみられる。
ウィズコロナの進展と政府による景気支援策等を受け、今年の成長率は政府目標に迫る+4.9%を見込む。