主要国で唯一、株高の条件が揃う中国
企業業績の回復(=景気回復)と金融緩和は株価上昇の主要な要因である。ただ、23年にこの2つの要因を備える市場は主要国の中では中国だけのようだ。
米国では、商品市況の上昇やタイトな労働市場等を背景にインフレが高まり、FRBは22年3月から年末にかけて7回、計4.25%ptの利上げを行い、FFレートの誘導目標上限を4.50%とした。23年内にはあと3回、計0.75%ptの利上げを見込む。
インフレの上昇率はすでに鈍化を始めているが、未だ6.5%と高く、12月のFOMC議事録では「23年内の利下げはない」との方針が示された。また、急速な利上げの影響もあり、経済成長率は22年推計の+1.9%から+0.4%への減速を見込む。
欧州でも米国同様にインフレの高止まりと利上げによる景気減速が懸念される。特に欧州の場合、ロシアからのエネルギー供給に依存するため影響はさらに大きいとみられる。
日本は欧米諸国の景気減速を受け輸出の伸びは鈍化するとみられるが、ウィズコロナに伴う国内旅行の活発化や訪日外国人の増加等が景気を支えよう。輸入物価の上昇等を背景に消費者物価の上昇圧力は高まっている。
日銀は政策金利の引き上げは行っていないものの、イールドカーブ・コントロール下での10年物国債利回りの変動許容幅を引き上げた。これは「実質的な利上げ」と見られており、今後も10年物国債の変動許容幅を調整する可能性は高い。
一方、中国は前述のように23年は成長率が高まると予想され、政府は景気下支えのため金融緩和の継続を唱える。
このように、主要国のなかで中国のみが株高要因を備えていることもあり、昨年11月以降、欧米から投資資金が中国に戻りつつある。ストックコネクト経由の香港から本土市場への海外投資家の買越額は1月3~20日のみで1,125億元と、22年通年の買越額900億元を上回った。
中国では目先、地方での感染拡大が見込まれるため、株式市場では利食い売りが出る可能性がある。ただ、足元の中国株のモメンタムは強く「押目待ちの押目なし」の状況が続く。
また、中国景気の回復ピッチが速い場合、落ち着きつつあった国際商品市況を再び押し上げ、欧米のインフレを悪化させることも考えられる。結果、欧米の金利上昇が更に長引き、投資資金が更に中国に入る可能性もあろう。
<<日・米・中・欧の「GDP成長率」と「政策金利の見通し」を図表でみる>>
白岩 千幸
東洋証券株式会社 投資情報部
シニア・エコノミスト/ストラテジスト
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