「判例」の基準はどうなっているか?
では、新ルールが依拠する「判例」の基準とはどのようなものでしょうか。
この判例の事案は、弁護士がクライアントから毎月定額で得ていた「顧問料」が「事業所得」と「給与所得」のどちらにあたるかが争われたものです。
最高裁の「事業所得」の定義は以下の通りです(最判昭和56年4月24日)。
このうち、事業所得と雑所得を区別するうえで重要なポイントは、「反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務」か否かという点です。
これは、売上の大小だけで形式的に区別してはならない、たとえ現状での売上が小さくても「この事業を軌道に乗せてやるぜ!」という「意思的要素」も軽視してはならない、ということを示していると考えられます。
とりわけ、起業当初は、経費がたくさんかかる割に、売上がなかなか思うようには上がらないものです。そういう場合でも、いずれは収益を上げ、継続していこうという意思が見てとれるのであれば、「事業」と扱うべきだということです。
その「意思」つまり「本気度」をはかる試金石として、「帳簿書類の作成・保存」の有無という基準は合理的なものといえます。今回ばかりは「国税庁もやればできるじゃないか!」と膝を叩いた人も多いのではないかと推察されます。
ただし、最終的な判断は、実質的、総合的に行われざるを得ません。
昨今、税務当局ないしは政府は、「租税法律主義」「租税公平主義」といった原則を軽視する傾向があり、なりふり構わず「取れるところから取る」というむき出しの姿勢がみてとれます。たしかに高額所得を得ているサラリーマンの「もっぱら節税のためだけの副業」を抑制することは大切かもしれませんが、それを推進しようとするあまり、「所得獲得活動としての正当な副業」に対して萎縮効果が生じてしまう可能性は依然としてゼロではありません。今後の運用に注視していく必要があるといえそうです。
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