中国市場にただよう「好材料の出尽くし感」…景気回復の兆しも、「連休特需」終焉後の策はあるか【専門家が解説】

中国市場にただよう「好材料の出尽くし感」…景気回復の兆しも、「連休特需」終焉後の策はあるか【専門家が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数21,842.33 pt (▲1.03%)
中国本土株指数 7,424.92 pt (▲0.95%)
レッドチップ指数  3,978.79 pt (▲1.56%)
売買代金1,738億2百万HK$(前日2,032億5百万HK$)

中国PMIは製造業・非製造業ともに回復

中国国家統計局が31日に発表した1月の購買担当者指数(PMI)は製造業・非製造業のいずれも前月比で大幅に改善した。4ヵ月ぶりに好不況を判断する節目の「50」を上回った。

 

特に新型コロナウイルスの感染抑制方針を大幅に転換したことで、旅行や消費などのサービス業の回復を支援した。感染者拡大による混乱はあったがピークを越えたと受け止められており、経済活動も生活も日常を回復し始めている。

 

生産活動の正常化も各地で伝えられており、非製造業PMIは54.4と大幅に改善した。これは、中国最大の経済都市である上海のロックダウンが解除された昨年6月以来、7ヵ月ぶりの水準まで回復したことになる。

 

 

金融市場では、脱コロナ戦略への脱却をはかり、より経済成長を重視した方向に中国政府の重点がシフトするとの期待感は強い。

 

昨年2022年は通年でのGDP成長率が前年比で3.0%と低水準にとどまり、国家目標として掲げた「年率5.5%前後」を大幅に下回った。これは、約50年ぶりの低成長である。それだけ、需要が後退してことを意味している。

 

中国経済の回復は無策では見込みにくい。外需も大きくは期待できないため、中国経済の回復ペースを速めるには、国内消費を刺激するしかないだろう。

香港ハンセン指数は続落

31日の香港市場は、前日の米国株市場の下げを踏襲し、断続的な下げ圧力に屈した。ハンセン指数は前日比1.03%安と昨年12月以来の下落となった。

 

昨年11月から急ピッチに上昇してきた香港市場にも上値が重い展開がみられた。ハンセン指数は足元3ヵ月で約50%に戻し、先週末には昨年3月1日以来およそ11ヵ月ぶりの高値まで回復していた。中国景況感の改善を手がかりに戻してきたが、好材料の出尽くし感が意識される形となった。


不動産株で構成されるハンセン不動産指数は前日比2.2%安とアンダーパフォーム。不動産開発の恒隆地産(0101)は5.3%安、香港の大手コングロマリットの新世界発展(0017)は4.5%安、不動産開発の華潤置地(1109)は4.3%安、不動産投資会社の九龍倉置業地産投資(1997)は4.3%安と続落した。

 

香港上場の主要銘柄も続落し、Eコマースの京東集団(9618)は2.5%安、香港取引所(0388)は2.0%安、アリババ(9988)、インターネットサービスのテンセント(0700)はそれぞれ1.3%安だった。Eコマース大手のアリババは今週2日間で約8%下落するなど主要銘柄についても中国の消費回復が大きな期待に応えられないとの投資家の懸念が残る形となった。

 

一方、電子部品関連が堅調となり、人工知能開発のセンスタイム(0020)3.3%高、電子部品メーカーの比亜迪(1211)は2.3%高、スマートフォン大手の小米(1810)、電気工具メーカーの創科実業(0669)は1.7%高だった。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.42%安の3,255.67と5日ぶりの反落、CSI300は同1.06%安の4,156.86と6日ぶりの反落となった。春節の連休を終え、利食い売りが優勢となったほか、今後の経済再開に対する見極めの動きが強まった。
 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

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