証明書作成時の注意点
遺産分割証明書を作成する際には、次の点に注意しましょう。
印鑑証明書の添付
原則として、遺産分割証明書は捺印をした各相続人の印鑑証明書とセットとなってはじめて効力を生じます。印鑑証明書があることで、捺印をした印が実印であることが証明できるためです。遺産分割証明書へ捺印を求める際には、併せて印鑑証明書を受け取ることを忘れないようにしましょう。
放棄する場合
相続放棄とは、家庭裁判所で申述をすることにより、はじめから相続人ではなかったこととされる手続きです。相続放棄が認められると、相続で財産を受ける権利が一切なくなる一方で、借金も引き継がずに済むこととなります。また、相続手続きに関与する必要もなくなりますので、遺産分割証明書に署名をしたり印鑑証明書を渡したりする必要もありません。
ただし、相続手続きを進めるに際して相続放棄をしたことの証明は必要となりますので、相続放棄受理証明書を家庭裁判所から取得して、ほかの相続人に渡しておくとよいでしょう。
「数次相続」の場合
数次相続とは、数回にわたって相続が繰り返されている状態です。たとえば、亡くなった祖父名義の土地の相続手続きをしたい場合、祖父が亡くなったあとで祖父の子である父も亡くなった場合などがこれに該当します。
この場合、誰に遺産分割証明書をもらうべきか、判断が難しい場合が少なくありませんので、あらかじめ弁護士などの専門家へ相談するとよいでしょう。元の相続からかなりの時間が経っている場合には、数次相続が各所で発生し、相続人の数が非常に多くなっているケースも珍しくありません。
突然、「遺産分割証明書」が送られてきたら…
遺産分割証明書は、本来、書類作成の前に対面や電話などほかの方法で協議内容に合意ができたうえで作成すべきものです。しかし、事前の話し合いなどのないまま、突然遺産分割証明書が送られてくる場合などもあることでしょう。この場合にはまず、必ずその内容をよく確認します。そのうえで、内容を理解し納得ができた場合にのみ、署名や捺印をしてください。
よくわからないまま署名や捺印をして返送してしまうことは、絶対に避けましょう。自ら署名や捺印をした以上、あとから「よくわからないまま署名捺印をしてしまった」と主張しても、そのような主張は通らないことが一般的であるためです。
内容に納得ができない場合や内容の理解ができない場合などには、署名や捺印をする前に弁護士へご相談ください。
状況に応じて使いわける
遺産分割証明書は、遺産分割協議書と同じ効力を持つ書類です。しかし、遺産分割協議書とは異なり各自が別の用紙に署名捺印をするものであることから、相続人が多い場合や遠方に散らばっている場合などには非常に使い勝手がよいといえます。状況に応じて、遺産分割協議書と遺産分割証明書を使い分けるとよいでしょう。
堅田 勇気
Authense法律事務所
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