(写真はイメージです/PIXTA)

名前が似ている「遺産分割証明書」と「遺産分割協議書」。どちらも遺産分割協議がまとまったことを証明する書類ですが、それぞれ異なるものです。どのような違いがあるのでしょうか? 相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

協議書と証明書、どのように使いわける?

遺産分割「協議書」と遺産分割「証明書」のどちらを使うべきなのかについては、明確なルールがあるわけではありません。法律上や手続上では、どちらでもよいこととなっています。そのため、状況に応じて使いやすいほうを選択すればよいでしょう。選択の目安は、次のとおりです。

 

相続人が一度に集まれる場合:協議書

相続人が一堂に会しやすい場合には、遺産分割協議書を選択するとよいでしょう。その場で用紙を回して署名捺印をもらうことができるため、スムーズです。また、全員が同じ用紙に署名捺印をすることで、「よくわからない用紙に署名捺印をさせられた」とも感じにくく、安心感や納得感を得やすいでしょう。

 

相続人の数が多い場合:証明書

相続人の数が多い場合には、遺産分割証明書を選択するとよいでしょう。相続人の数が多い場合に遺産分割協議書を使用すれば、全員の署名捺印がそろうまでに時間がかかってしまいやすいためです。

 

相続人がさまざまな地域に散らばっている場合:証明書

相続人がさまざまな地域に散らばっている場合には、遺産分割証明書を選択するとよいでしょう。1人ずつ遺産分割協議書に署名捺印をして、順に回していくことには、手間や時間がかかってしまうためです。

遺産分割証明書に必要な項目

遺産分割証明書には、次の項目を記載しましょう。

 

被相続人(亡くなった人)の情報

被相続人について、次の情報を記載します。

 

・氏名:戸籍どおりに記載します

・最後の住所:住民票(除票)どおりに記載します

・最後の本籍地:戸籍どおりに記載します

・死亡年月日:戸籍や住民票(除票)と違いがないように記載します

・生年月日:戸籍や住民票(除票)と違いがないように記載します

 

ここは、この用紙を渡す相続人によって、記載に違いはありません。

 

相続財産と分割内容

相続財産を明記したうえで、どの相続人がどの財産を取得するのか、明確に記載します。記載があいまいな場合には、名義変更などの手続きに使えないリスクがあるため注意してください。ここは、この用紙を渡す相続人によって、記載に違いはありません。

 

相続人の情報

その遺産分割証明書に署名捺印をする相続人の情報を記載します。住所を印字したうえで、署名欄と押印欄を設けておくとよいでしょう。生年月日や被相続人との続柄を記載する場合もあります。この部分は、用紙を渡す相続人によって異なります。

 

作成年月日

作成年月日を記載する欄を設けます。ここは、各相続人が署名捺印をする際に、その用紙に署名捺印をした日付を記載してもらいましょう。相続人によって、日付が違ってもまったく問題ありません。相続人全員分の遺産分割証明書のうち、最後の日付が遺産分割協議の成立日となります。

 

署名と実印

遺産分割協議書の様式が作成できたら、各相続人に署名と捺印(実印)をもらいます。なお、いきなり用紙だけを送るのではなく、あらかじめ対面や電話などで話をまとめてから送るべきでしょう。相手が納得していない状態や話し合いさえできていない状態で、いきなり遺産分割証明書を送ってしまえば、トラブルに発展する可能性があります。

 

割印

遺産分割証明書が複数枚にわたる場合には割印も忘れずに押印しましょう。

 

捨印

可能な限り捨印をもらっておくと安心です。捨印があることで、仮にあとから誤字や脱字が判明した場合などに、押印をもらいなおすことなく軽微な修正をおこなうことが可能となります。

 

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